[MOM4896]大同大大同FW加藤真基(3年)_「一瞬のスピードには自信がある」俊足とキャプテンシーで初の全国に王手
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ] [11.3 選手権愛知県予選準決勝 大同大大同高 0-0(PK6-5) 名古屋高 ウェーブスタジアム刈谷] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 今回の選手権予選でチームの最高成績を塗り替える躍進を続けるのが大同大大同高。チームをキャプテンとエースという立場でけん引するのがFW加藤真基(3年)だ。 「20mを速くするために小さい頃からトレーニングしてきたのが生きている。足元は凄く苦手なので、スピードで行けるところは行っている」と口にする通り、持ち味は一瞬の速さを生かした抜け出しとドリブル。自陣から足元を繋ぐサッカーを志向するチームではあるが、彼のスピードを生かしたカウンターは脅威で、今季は県1部リーグでチームトップの6ゴールをマークしている。 その速さは分かっていてもそう簡単に止められない。得点こそ奪えなかったが、前年王者である名古屋高に挑んだ準決勝でも能力の高さを随所で垣間見せた。「今週はハイプレスで来る相手に対して自分たちのやりたいサッカーができるようにする練習しかしていなかった。練習の成果がよく出たのが前半でした」。そう振り返る通り、前半は名古屋のハイプレスをかわして攻撃を前進させた大同のペース。周囲の選手もチャンスを逃さず、加藤にボールを入れていく。 最初の見せ場は前半23分。FW福田琉斗(3年)からのパスを左サイドで受けた加藤はドリブルのスピードを一気に上げて、ゴール前に潜り込んでシュート。GKの脇を上手く付きながらDFにクリアされ、こぼれ球をDF近藤大知(3年)が押し込んだが、相手GKに止められ得点には至らない。「一瞬のスピードには自信が持っているので、あの形は持っていけると思っていた。決めきれていれば、もう少し楽なゲーム展開になったと思う」と本人は悔しさを滲ませる。32分には加藤のクロスから、DF赤野太一(3年)がヘディングシュートを放ったが、スコアを動かせないまま前半を終えた。 後半以降はパワフルな攻撃を仕掛けた名古屋のペースで試合は進んだ。前半のように相手ゴール前に攻め込む回数は減ったが、抜群のスピードを持つ加藤が前線にいる意味は大きい。相手を押し返すカウンターの起点として機能。延長後半4分には右サイドでのボール奪取から素早く前線に展開し、加藤がおさめてシュートまで持ち込もうとしたが、3人に囲まれて自由にやらせてもらえなかった。 得点こそ奪えなかったが、俊足で相手の脅威になるだけでなく、主将としての貢献度も高かった。「周りを引っ張れる選手」と評するのは城山太志監督で、耐える展開を強いられた後半は後ろの選手が冷静にプレーできるよう声掛けを欠かさなかったという。心身ともに加藤の存在は大きく、初の決勝進出は彼の存在抜きで語れない。 「県内の高校の中でも環境が良かったら。ここなら自分が成長できると思って決めた」という大同で1年目からAチームで出場機会を得た。2年目の昨年は早生まれ選手として東海ミニ国体のメンバーにも入ったが、本国体のメンバーから外れ悔しさも味わった。 「とても悔しくて、そこがきっかけでもう1個レベルアップできたと思う」と振り返る通り、国体から落選した悔しさを無駄にはしない。迎えた今年は2年ぶりに県1部リーグでプレー。何もできなかった1年生の頃とは違い、「自分の学年になってからは基本的にできないことはないと思える」。速さを生かしたプレーだけでなく、フィジカルが成長し、競り勝てる回数も増えている。そうした手応えが自信に繋がって、思い切りの良いプレーが増えている。 愛工大名電と対戦する決勝でも、「自分が点決めて勝つことが大事ですが、どんな形であれ相手より1点多く取って全国を決めたいです」と話す加藤の存在は相手の脅威になるのは間違いない。初の全国に導くことができるか注目だ。 (取材・文 森田将義)