元中学教諭が始めた格安の米国留学プログラム「ハードル下げ、起業家精神を育てたい」
「もっと勉強したい」 参加者の声
京都市立西京高校2年の大石珠緑さん(17)は今年3月の留学プログラムに参加した。アップルやグーグルなど大手IT企業が集まるカリフォルニア北部のシリコンバレーに短期留学した。 現地では、日本語を学ぶ米国の高校生とペアになり、その高校生の家にホームステイしながら一緒に高校に通ったり、スタンフォード大やIT企業を訪問したりした。 自宅で保護猫を2匹飼っていることから、動物福祉に興味を持ち、留学のテーマにした。 事前リサーチで、米カリフォルニア州のペットショップでは保護動物しか販売してはいけないことを知り、4件の動物保護施設を探してメールを送った。そのうち1件から訪問を快諾する返信があり、もう1件はオンラインで話を聞けることになった。 あらかじめ英語の質問を用意して、何度も練習した。しかし、実際のインタビューでは、相手の返答に対する英語での返し方が分からず、隣にいたペアが英語で書き起こしてくれたメモを後から読んで理解した。 「相手の話が分かればもっと聞けることがあった。思ったことを伝えられなくて、もっと勉強したいと思った」。ペアになった高校生は「授業は受けるものではなく、取る(take)ものだ」と言った。「授業で積極的に発言し、生き生きと勉強していた」と振り返った。
同じく今年3月のプログラムに参加した山脇学園高校(東京)3年の寺松かえでさん(17)にとっては、初めての海外経験だった。ペアの高校生と生徒会選挙を聞きに行き、候補者の演説に日本との違いを感じた。 「自分は何をしたいのか、どう学校に貢献できるのかを熱弁していた。日本の学校の選挙と比べて、熱量が違った」 サンフランシスコ市内にある丸亀製麺では、料金の高さに驚いた。肉みそうどんと芋の天ぷらが計19.7ドル(約3千円)。「ホームステイ先は、住民の年収が高いエリアで、高校の教育レベルも高い。アメリカの階層社会の一番上。他の地域は違うとも聞き、これが米国のすべてではないと感じた。また違う地域にも行ってみたい」
中山美里 朝日新聞記者