元中学教諭が始めた格安の米国留学プログラム「ハードル下げ、起業家精神を育てたい」
航空券込みで10日間20万~30万円の米国留学――。米国で働く元中学校教諭が、高校生向けに格安の米シリコンバレー短期留学プログラムを始めた。英語力や成績は不問といい、「留学のハードルを下げ、一歩を踏み出してもらいたい」と話す。
大事なのは熱意
留学プログラムは「ワールド寺子屋」。米スタンフォード大と米ハーバード大それぞれの大学院を修了し、現在は米国で働く元中学教諭、中村柾(まさき)さん(29歳)が始めた。 ワールド寺子屋の目的は、アントレプレナーシップ(起業家精神)を育むこと。そのために参加者一人ひとりが関心あるテーマを掘り下げる「パッション・プロジェクト」に取り組む。 その中でも大切なのが事前準備。自分の好きなことや関心ある社会課題を見つけ、具体的な行動につなげるための計画を考える。 留学の3カ月以上前から、教員経験があるスタッフと定期的にオンラインの個別セッションを行う。関心事の言語化に取り組んだり、関連団体や関係者へのアポ入れやメールの書き方を学んだりできる。パスポートや渡航申請の手続きも案内し、初めての海外渡航でも参加者が安心できるよう、きめ細かなサポートをする。 語学研修が目的ではないので、応募時の英語力と成績は不問に。選考は、1千字の志望動機を書く書類選考と2次選考の面接があり、応募者の「熱意」を重視している。 来年3月に渡航予定の留学は10日間で、高校生20人程度と大学生複数人を募集する。9月22日にウェブ上で詳細を発表する。来年は、これまで実施してきたシリコンバレー研修に加えて、ボストン・ニューヨークを巡る10日間の留学も新設する。 費用は、飛行機代や滞在費、海外保険料などを含んだプログラム費用として、シリコンバレーが20万~30万円、ボストン・ニューヨークが50万~60万円(いずれも税込み)を見込む。中村さんによると、米国の短期留学の多くは、プログラム費用が約60万円、飛行機代が約30万円と、合計で90万円はかかるという。ワールド寺子屋は現地校と提携することで、飛行機代以外のプログラム費用を削減できた。