あなただけのアール・ドゥ・ヴィーヴルの見つけ方。
フィガロジャポンは、フランスの「アール・ドゥ・ヴィーヴル(Art de Vivre)」という考え方を大切にしています。自分の感性をもとに知恵と工夫を凝らして何気ない日常を楽しくするーー「暮らしの美学」とも訳されるこの考え方は、国を超えて、すべての人の中にあり、その人の生き方を豊かにするものです。 そんなアール・ドゥ・ヴィーヴルについて考える新連載「アール・ドゥ・ヴィーヴルを探す旅。」(全4回)。プロフェッショナルコーチの畑中景子さんと一緒に、人生を豊かにしてくれる、あなただけのアール・ドゥ・ヴィーヴルを探してみませんか?
「美学がある人」とはどんな人?
文/畑中景子 「アール・ドゥ・ヴィーヴル」と聞いて、どんなことを思い浮かべるでしょうか? 家具や食器など細部までこだわり抜くこと? ナチュラルな家での丁寧な暮らし? 洗練されたファッションを身に纏う生活? 自分自身の美学を考える人もいれば、身の回りの素敵な誰かや著名人を思い浮かべる方もいるかもしれません。 目に見えるインテリアやファッション、立ち居振る舞いの奥底には、その人が好きなものや大切にしていることがあります。たとえば、シンプルが好き、生きものが好き、自由でいたい、など。「あの人には美学があるなぁ」と思い浮かぶその人は、きっと、そういうものが好きだということを本人が感覚的に知っていて、かつそれを日々の生活にも人生にも取り入れている人ではないでしょうか。 言葉では表されていないとしても、自分の感性は何が好きかを知っている。そして、その感覚を信じて生きている。それが、その人のアール・ドゥ・ヴィーヴルなのだと思います。 だから、アール・ドゥ・ヴィーヴルは人それぞれ。定型もないし、正解もないし、間違いもない。誰かに決めてもらうものでもありません。自分で見つけていくもの。自分で創っていくもの。 また、誰かに認められるためのものでもありません。それを大事にしていると自分自身がうれしくなって満たされるためのものです。 いま、生活に美学が表れているように見える人も、きっと最初からそうだったわけではありません。少しずつ、試行錯誤しながら、自分に素直になって選び続けて、いまがあるはずです。そして、きっと、完成することもないのだと思います。自分も変わるし、世の中も変わる。喜びを感じるものが変わっていくことは自然なことです。 人生は、自分のアール・ドゥ・ヴィーヴルを発見し創り続ける旅、と言えるのかもしれません。