「”500分の1秒”の世界を切り取る」絢爛たる名建築とダンサーのめくるめく競演…作家・稲葉なおとが語る「ダンスと建築の美」
“500分の1秒”の世界を切り取る
ダンサーのみに焦点を合わせれば建築の魅力は伝わらず、建築全体を引いて撮ればダンサーが目立たない。両方が引き立つように撮影するのは至難の業だ。 写真(奥)田中孝康/加藤美智子 グランドプリンスホテル新高輪「飛天」 「建築写真を撮る場合は三脚を使い、シャッタースピードは16秒、32秒などと長めに設定して撮りますが、こちらは500分の1秒の世界。技術的にもまったく別物なんです。だからこそ建築とダンサー、どうすればそれぞれの良さが出るのかということを常に考えています。 たとえば私の写真の大きな特徴の1つでもあるんですが、背中からの写真が圧倒的に多いんです。建築の内装とダンサーの動きやシルエットを対比させて際立たせるため、まずはダンスの勢いと美しさを伝えたいと思った結果なんですが、有名ダンサーの写真でも、誰ですか? とよく訊かれます(笑)」 稲葉なおと/紀行作家・写真家・一級建築士 東京工業大学建築学科卒業後、建築家として活躍。旅行記の出版を機に紀行作家としてデビュー。写真家としても、名建築ホテルや美しい建築を撮影した写真集の出版、単独写真展を開催している。JTB紀行文学賞奨励賞受賞。建築文化の発展と啓蒙への貢献により日本建築学会文化賞受賞。 ………… 【つづきを読む】「美しい姿を永遠にとどめたい」作家・稲葉なおとが捉えた、名建築と社交ダンスが織りなす「美の世界」
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