「悪質運転に危険運転致死傷罪を」娘奪われた父、警官らに思い語る
赤信号を無視した車にはねられ、小学5年生の女の子(当時11)が亡くなった。父親の波多野暁生さん(46)は講演で各地をめぐり、悪質な運転には危険運転致死傷罪の適用を視野に捜査を尽くしてもらえるよう訴えている。 【写真】警察官らに講演する波多野暁生さん=2024年6月13日午後1時27分、津市の三重県警察学校、小林裕子撮影 13日、津市の三重県警察学校。交通捜査に従事する警察官や津地検の検察官ら約100人を前に、波多野さんは「なんの落ち度もない子どもが命を失い、その結果が『過失』というのは耐えられない。最大の被害者支援は、悪質な運転に危険運転致死傷罪を適用すること」と切実な思いを語った。 2020年3月、波多野さんは東京都葛飾区で長女の耀子さんと横断歩道を渡っていた。そこに赤信号を無視した車が突っ込んできた。耀子さんは死亡し、波多野さんは重傷を負った。 運転手は自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)容疑で現行犯逮捕されたが、波多野さんは納得できなかった。「不注意」による過失運転致死傷罪でなく、「故意」による危険運転致死傷罪を適用するよう検察に繰り返し申し入れた。運転手は危険運転致死傷罪で起訴され、懲役6年6カ月の実刑判決が確定した。 波多野さんは、耀子さんを失った事故について、危険運転致死傷罪が裁判所に認められた最大のポイントは実況見分調書の信用性だったと説明し、「危険運転が認められた過去の事例を共有し、次の事件に備えてほしい」と話した。
朝日新聞社