【札幌2歳S回顧】短距離血統の2頭でワンツー マジックサンズ、アルマヴェローチェともに見どころあり
バレークイーン一族とキズナ産駒
北海道シリーズの総決算は秋、そして翌春に向けて年々、重要性を増す2歳チャンピオン決定戦。重馬場で迎えた開催最終週の芝は開幕当初のような高速馬場ではなく、適度に時計を要し、スタミナと持久力に傾く。GⅠで必ず問われる要素であり、本格派になる素養がみえてくる。 【新潟記念2024 推奨馬】単複回収率100%超えデータ2つに該当! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 今年の勝ち馬マジックサンズは、4コーナーで外から2番手まで押し上げ、早々に先頭に立ち、アルマヴェローチェの急襲を封じ込んだ。2歳にして粘り強い走り。本格派コース決定といえる。 マジックサンズはバレークイーン一族の出。母系を見るとダービーを3戦目で勝った天才フサイチコンコルドの名がある。その弟には皐月賞馬アンライバルドもいて、クラシックを目指すにあたり、バレークイーン牝系は必ずとりあげられるようになった。 バレークイーンを母にもつフサイチミニヨンの仔アンブロワーズは父フレンチデピュティであり、中距離をこなしていい血統だったが、2戦目に函館2歳Sを勝った。つづく阪神JF2着と好走したものの、桜花賞14着から長いスランプに陥った。ここからアンブロワーズの血は仕上がり早という印象にかわった。その娘コナブリュワーズも短距離に強く、いつの間にかバレークイーン一族であることを忘れそうになる短距離、速攻型に塗りかえられていった。 マジックサンズは仕上がり早の中距離タイプであり、バレークイーン一族の進化版のようだ。短距離に寄った母系に中距離適性を注いだのは父キズナからだろう。3歳世代絶好調のキズナはジャスティンミラノが母の父ダンチヒ系エクシードアンドエクセル(短距離GⅠで2勝)であり、短距離の血と相性がよく、母系のスピードと自身の適性を掛け合わせたような産駒を送る。 アンブロワーズの適性を引き出し、そこに自身の距離適性と持続力を注いだのがマジックサンズ。この世代もキズナから目を離せない。配合の妙でキズナのイメージを一変させたノーザンファームはさすがの一言。すでに2025年に向けて逆算をはじめているだろう。