5G電波の健康不安を解消へ 強度は4Gと同程度 公的機関が測定
情報通信研究機構(NICT)は5日、公的研究機関として世界で初めて高速通信規格5Gの電波強度を測定したと発表した。商用の5Gサービスで使われている6ギガヘルツ以下と28ギガヘルツ帯の2つの周波数帯について、基地局周辺で電波ばく露レベルを調べた結果、従来の4Gシステムと同程度かそれ以下だったことが明らかになった。 【関連写真】5G電波の強度を測定できる専用装置 今回の調査では、6ギガヘルツ以下(FR1)は東京都内と近郊の51地点、28ギガヘルツ帯(FR2)は都心の3地点で測定。測定場所付近でスマートフォンにデータをダウンロードしながらの測定も実施した。その結果、4Gの基地局の過去の測定結果と比較すると、レベルは同程度かそれ以下であることが確認された。 データのダウンロード有無の比較では、データをダウンロードした時の方が、レベルはFR1で約70倍、FR2で約1000倍大きくなることが分かった。いずれの場合も、電波防護指針に対して低いレベル(中央値で約1万分の1以下)で、最近の海外で行われたFR1基地局の測定結果と比べると12 %程度だった。 NICTは「国内で5G導入後初めての測定結果で、5Gのさらなる普及によって電波ばく露レベルがどのように変動するかを明らかにするための参照データとなる」と説明。少なくとも2040年まで測定を継続し、海外の調査活動とも連携していく方針だ。 無線機器からの電波は電波防護指針に基づき、人体に悪影響を及ぼさない範囲で利用されている。海外では、5G基地局からの電波による健康不安が5G展開の障害となっているという事例もあり、日本でも一部で不安の声が上がっている。 5G電波をめぐっては、これまで携帯電話事業者自身による測定例はあったが、公的研究機関が中立の立場で基地局周辺の電波強度を測定するのは世界初という。
電波新聞社 報道本部