母国のF1GPでマクラーレン・ホンダが遅すぎた理由と巻き返し策は?
「GP2エンジン。GP2……ウォォー!」 ホンダのF1復帰初年度となった昨年の日本GP。ストレートで為す術なくオーバーテイクされていったアロンソは、無線でチームにそう叫んで怒りをあらわにした。 あれから、一年。今シーズンのホンダは表彰台にはまだ届いていないものの、昨年を大きく上回る成績を残している。2015年は1年間で27点しかポイントを得ることができなかったものの、今年は日本GP以前にすでに昨年の2倍以上の62点を獲得。トップ3チームに次ぐ争いの輪に加わっていた。ホンダにとって、ホームコースとなる鈴鹿でもポイント獲得は確実だと思われていた。 雪辱を期して臨んだ復帰後、2度目の母国グランプリ。しかしホンダは予選でバトンがQ1脱落し、アロンソもQ3へは進出できずに終わる。さらに日曜日のレースでは、トップ3チームに次ぐポジションではなく、その後方を走る下位チームと争う結果となった。予選のアロンソ15位、バトン17位は昨年の14位、16位よりも低く、日曜日のレースでの16位(アロンソ)、18位(バトン)は昨年の11位と16位を大きく下回った。これは、今年ホンダが2台そろって完走したレースで最低の成績だった。 なぜホンダは今年の日本GPで惨敗したのか。アロンソはレース後、こう語っている。 「週末を通してずっと遅かったことに少し驚いている。だって、日本GPの前の週に行われたマレーシアGPで僕らは7位につけていたのに、1週間後の鈴鹿ではザウバーの後塵を拝してしまったんだからね。その理由がなんだったのか……」 じつは、そう語るアロンソの昨年の「GP2エンジン」という無線に、今年のマクラーレン・ホンダが失速した原因が隠されているのではないか。 今年、ホンダのパワーユニットは大きく向上した。昨年、最大の課題だったデプロイと呼ばれるエネルギー回生量も増加。依然としてF1界で最強と言われるメルセデスのパワーには追いついていないものの、昨年からの向上率はライバルたちを上回っていた。その証拠に今年ホンダのマシンがストレートでごぼう抜きされるシーンはほとんど見かけなくなったし、もうドライバーが「GP2エンジン」と叫ぶこともなくなった。 つまり、昨年も、そして今年も日本GPで惨敗した真因は、ホンダのパワーユニットの性能にあるのではなく、じつはホンダがパートナーを組むマクラーレンの車体にあったと考えるのが自然なのである。