母国のF1GPでマクラーレン・ホンダが遅すぎた理由と巻き返し策は?
それを如実に示しているのが、予選での区間タイムである。鈴鹿には18のコーナーがあり、そのうちそれぞれ7つずつがセクター1と2にあり、セクター3には4つしかないのだが、マクラーレン・ホンダのマシンはセクター1がもっとも遅かった。セクター1はエンジンパワーよりも空気の力で車体を地面に押し付けるダウンフォース量が重要な区間。これは鈴鹿に限ったことではなく、現在のF1を戦う上で重要な要素なのである。そして、残念ながら、マクラーレンの弱点でもあった。 しかしながら、昨年まではホンダのパワーユニットのパワー不足と信頼性不足ばかりがクローズアップされていたため、その弱点があまり深刻に受け止められていなかった。そして、車体性能がもっとも重要な役割を果たす鈴鹿のセクター1で、マクラーレンのウイークポイントが露呈してしまった訳である。 セクター1は中速コーナーが連続するだけでなく、起伏に富み、逆バンク状になっているコーナーがある。このような車体に厳しいサーキットはほかにはない。したがって、マクラーレン・ホンダの失速は鈴鹿に限った話で、今後は再び入賞を賭けた戦いが見られるはずだ。 だからといって、それで問題が解決した訳ではない。ホンダが目指すチャンピオンになるためには、鈴鹿のようなコースでしっかりと結果を残さなければならないからだ。 2度目の母国グランプリとなった2016年の日本GPで、ホンダは今年これまで経験したことがない屈辱を味わった。長谷川祐介総責任者も「これほど多くのファンが応援に来てくれたのに、こういう結果に終わったことは本当に残念でなりません」と厳しい表情で苦しい胸の内を明かした。 来年、F1は車体に関するレギュレーションが大きく変わる。いまこそ、マクラーレンもホンダも、自らの弱点を真摯に見つめる最高のタイミング。そして、今年味わった屈辱を是非、来年晴らしてほしい。 (文責・尾張正博/モータージャーナリスト)