アウディF1チーム、カタールの政府系ファンドに一部株式を売却か。フォルクスワーゲンの業績不振が影響
政府系ファンドであるカタール投資庁が、アウディF1チームの一部株式を取得する可能性があるとみられている。アウディの親会社フォルクスワーゲン・グループの業績悪化から、ドイツ国内でアウディのF1プログラムへの批判が高まりつつある。 【写真】アウディF1ショーカー アウディは、ザウバーF1チームの株式100パーセントを取得して、2026年からF1に参戦する。しかし、アウディを傘下に収めるフォルクスワーゲン・グループが業績不振に陥ったことから、F1プログラムに対する圧力が高まっている。 約2週間前、フォルクスワーゲン・グループは中国での販売不振により営業利益が大幅に減少したと報告した。今のところフォルクスワーゲン・グループは利益を上げているものの、7月から9月の四半期で営業利益は前年同期比約41.7パーセント減の28億5500万ユーロ(約4700億円)だった。 その影響で、ドイツ国内の国内工場閉鎖が検討され、最大で30000人の従業員が失業する可能性がある。労働組合はその状況でフォルクスワーゲン・グループが何憶ユーロもF1プログラムに投資することについて疑問を投げかけている。 こうしたことからドイツ国内でのアウディのイメージはかなり悪化し、深刻な労働争議が予想される。しかし、チームの株式の多数部分をカタール投資庁に売却し、その取引額を公表すれば、アウディはF1への参戦によって大きな利益を上げているというメッセージを伝え、人々からの反発を避けることができるものと思われる。 アウディに近い情報筋によると、カタールは、アウディのF1プログラムに最大10億ユーロ(約1645億円)の投資を行う用意があるという。自社でエンジンの設計・製造も行うアウディF1チームの価値は、最大20億ユーロ(約3291億円)に達する可能性がある。アウディは、51パーセントの株式を保持し、依然として過半数株主の位置を維持して、カタールに49パーセントの株式を売却することを考えるかもしれない。 カタール投資庁がこの投資を行う大きな理由は、F1チームの価値以外にもある。カタールはすでにフォルクスワーゲン・グループの重要な株主であり、同社の17パーセントを所有している。つまり、カタールのアウディF1チームへの投資は、フォルクスワーゲン・グループへの、はるかに大きな投資を保護することにつながるわけだ。 カタール投資庁は、4450億ユーロ(約73兆2472億円)という途方もない価値を有しており、仮にアウディF1チームに10億ユーロを投じたとしても、総資産の0.25パーセント未満の支出にすぎない。 11月29日~12月1日にはカタールGPが予定されており、アウディとカタールの契約は、その週末に正式に発表されることになるかもしれない。 一方、カタールが株主になれば、現在ザウバーをサポートする『キック』および『ステーク』(同じ企業が所有)との契約は、見直されることになるだろう。カタールではオンラインであってもギャンブルは違法であるため、オンラインカジノのプラットフォームとの契約を来年以降も継続する可能性は低い。 過去数戦ザウバーのスポンサーを務めるステークとの契約を打ち切る場合、2025年のチーム予算に推定4500万ユーロ(約74億円)の穴が開くことになる。 [オートスポーツweb 2024年11月11日]