野菜高値でも…産地の恩恵は限定的 増える栽培管理費用
異例の品薄高が続く野菜相場だが、産地が受ける恩恵は限定的だ。資材高や天候不順で、栽培管理にかける費用が増大する。販売単価が上昇しても、収量減で収益が伸び悩む。産地関係者は、生産維持に必要な価格形成に理解を求める。 果菜類の大産地を抱える、宮崎市中央卸売市場。今週に入り、ピーマンの卸値は11月後半から続いた1ケース(10キロ)6000円台を割り始めた。それでも、宮崎中央青果によると、平年は2000~3000円で「11月から12月上旬は年間でも安くなりやすい時期で、異例だ」という。 全国的な品薄で、地場産がそろう産地市場に注文が集中。「特売を組む小売りへの供給がそろわず、採算度外視で調達する業者もいた」(同)という。 ハウス1・4ヘクタールでキュウリを生産するシナジーファーム(宮崎市)は、曇天に強い品種への転換を進める。西岡征志郎代表は「天候不順が通常という感覚に切り替えないといけない」と受け止める。 秋冬ハクサイの出荷量が全国一の茨城県。12月は過去3年続けて相場が低迷し、出荷調整を余儀なくされた。主産地によると、直近の卸値は1ケース(4玉・13キロ)が平均800円程度。他品目の品薄もあって引き合いが強く、平年を上回る。 ただ、病害虫防除など、夏の高温に伴う栽培管理費が増加。10月には県の最低賃金も上昇し、人件費も増す。JA常総ひかりは「相場が再生産価格に遠く及ばない年もあった。生産費に見合う価格を確保して生産者に還元しないと、生産を維持できない」と訴える。
日本農業新聞