あなたの知らない“巨大地下施設” の深い世界 防災だけじゃない!観光や映画撮影も
大雨などによる浸水被害を防ぐため、水を一時的にためる地下施設があるのを知っていますか? 我々を水害などから守ってくれる地下施設。実は、本来の役割だけでなく、施設内で見学ツアーや“観光”、“エンタメ“など、我々の生活を“豊か”にしてくれる取り組みも行われているんです。 【写真14枚】“巨大地下施設” の深い世界 観光や映画撮影も 画像で見る 地下施設に詳しい地下空間利活用研究所・粕谷太郎所長とともに、深~い地下施設の世界をご紹介します。
身近な場所にある大雨対策施設
地下にある大雨対策の施設。 東京にある主なものは、まず、大雨などによって増水した川の水を一時的に貯めて下流に流れる水の量を低減する「調節池」。都内に27カ所あります。 そして調節池とは別の「雨水貯留施設」。「調整池」と「貯留管」があり、こちらは下水道管の容量を超える雨水を貯留し浸水被害を軽減する施設です。2022年度時点で東京都が管轄しているものが23区内に58カ所あります。 雨水調整池は身近なところにあります。池袋・サンシャインシティ近くの豊島区立総合体育場の地下には、25mプール約45杯分(約1万4000㎥)の「東池袋雨水調整池」。 また、渋谷駅東口地下広場の地下には25mプールで約13杯分(4000㎥)の「渋谷駅東口雨水貯蓄施設」があります。 ――こういった施設はどういうところに作られているのでしょうか? 地下空間利活用研究所 粕谷太郎所長: 基本的には公共空間と言われる学校のグラウンド、あるいは都営住宅の地下、公園のようなところが利用されています。
施設を知ってもらうために…様々な活用法
こういった施設をもっと知ってもらうための取り組みも行われています。 「神田川・環状七号線地下調節池」ではクラシックコンサートを開催。トンネル内ならではの音の反響が楽しめます。2022年度に開催し好評だったため、2023年度には第2弾も開催しました。しかし本来は雨水を貯留する場所でありいつ大雨が降るかわからない、あくまでも施設を知ってもらうための取り組みなので計画的に開催するものではなく、次回の開催は未定だということです。 他にも、地下施設の見学ツアーなどが人気のスポットがあります。 埼玉・春日部市にある「首都圏外郭放水路」。トンネルの全長が6.3㎞ある世界最大級の施設で、東京・葛飾区や江戸川区を流れる中川の上流に位置し、大雨などの時にこの施設に水をため込むことで首都圏を水害から守る役割を担っているのですが、この施設でも役割を知ってもらうために見学会を行っています。4つのコースがあり、2023年度は6万3476人が参加しました。水を排出する巨大な羽根車を見学するコースが特に人気だそうです。 ――このような施設は基本的に公開しているものなのでしょうか? 地下空間利活用研究所 粕谷太郎所長: これは国の施設ということで、理解を得るために大規模な見学ツアー等を組んでいます。東京都では建設局とか下水道局がいわゆるミニツアーみたいな見学会、先ほどの「神田川・環状七号線地下調節池」なんかも見学会を行ったり、イベントを行って住民等に理解を得ていただくための効果を期待して公開しています。 さらに、地下施設は様々な活用法が広がっています。映画の舞台になった施設もあるのです。 9月17日、めざまし8が取材したのは栃木・宇都宮市の「大谷資料館」。 大谷石の採掘所を一般公開した施設です。 地下30mにある広大な敷地の気温は夏場でも約15℃。 来場客(20代): めっちゃ涼しくて最高でした!夏来るのにはすごくいい。 平日にもかかわらず涼を求める人たちで賑わっていました。さらに一般公開されていないスペースが、2019年に公開された、映画「翔んで埼玉」のワンシーンのロケ地となっています。 大谷資料館 大久保恭利館長: 撮影とかでもよく使われるので聖地巡礼みたいな形で、ファンの方がお越しになる。休日ですと多いときは5000~6000人くらい来られています。 ――映画の撮影など本来とはちがった使い方をする地下施設も広がっているんですね。 地下空間利活用研究所 粕谷太郎所長: この大谷資料館なんかでも、維持管理をする費用をまかなうために他にもショーやいろいろなイベントをやったり、この空間に水がたまっている池があってその中をボートやカヌーで探検をするようないろいろな企画で費用を稼いでいる。他にも北海道の炭鉱跡地で無重力実験。1000m落としてやるような実験をしているところもあります。 さらにディープな地下の世界をご紹介します。