【本県幕内3力士】共に精進し高みへ(8月31日)
大相撲秋場所は9月8日に初日を迎える。須賀川市出身の白熊(二所ノ関部屋)が新入幕を果たし、福島市出身の若元春、若隆景(荒汐部屋)と合わせて幕内の郷土力士は3人となった。県内出身の3人同時幕内は1960(昭和35)年の3月場所以来、64年ぶりだ。角界と県民を盛り上げる活躍に期待し、熱い声援を送りたい。 白熊は須賀川市の仁井田小を卒業後、県外の中学、高校、日体大を経て2022(令和4)年の夏場所で、本姓の高橋のしこ名で初土俵を踏んだ。技と力を兼ね備えた取り口を発揮し、所要8場所のスピード出世で昨年、十両に駆け上がった。しこ名を白熊に改めた今年の初場所以降は、色白で愛きょうのある風ぼうも相まって人気もうなぎ上りとなっている。 古里の須賀川市でも応援の機運が高まりを見せている。後援会員は個人・法人合わせて約500口に増え、会員への割引サービスを提供している飲食店もある。市内で31日に開かれる十両優勝と新入幕の祝賀会には約200人が集まる見込みだ。席上、地元の伝統行事「松明あかし」がデザインされた化粧まわしが贈られる。須賀川市初の関取に対する期待の大きさの表れと言える。
同郷の幕内力士として新入幕の白熊を迎える若元春と若隆景は、いずれも大関候補に名が上がる実力者だ。足の負傷などで2場所連続で負け越している若元春は、三役復帰を目指して巻き返しを期す。一時は、右膝のけがで幕下に番付を下げた若隆景は、6場所ぶりの幕内となった先場所、11勝を挙げて復活をアピールした。夏巡業福島場所では、順調な仕上がりを見せており、地元ファンは優勝争いを待ち望んでいる。 同じ部屋の力士同士の対戦は、日本相撲協会の規定により地方巡業や優勝決定戦以外は組めない。これまで若元春と若隆景による兄弟対決は実現しなかったが、白熊の昇格によって、最上位の幕内で県勢同士の取組も観戦できる。県内の好角家には見どころが増えた。 白熊は新入幕会見で「もっと上を目指し、故郷に恩返ししたい」と誓った。若元春、若隆景と切磋琢磨[せっさたくま]してさらなる高みを目指し、県民に笑顔を届けてほしい。(神野誠)