牧野知弘 もはや短絡的に「都心部のマンションは必ず値上がりする」という結論にはならない…それでもマンションを所有するならどのエリアがいいか
◆不動産にお買い得なし では、どのエリアが該当するでしょうか。 まず、都心部でマンションを所有するなら間違いなく山の手です。東京は西南部を中心に武蔵野(むさしの)台地の丘陵が続きます。 この台地上は地盤が良く、懸念されている東京直下型地震の影響をかなり小さくできるはずです。実は、江戸時代から大名屋敷があった場所はそのほとんどが台地上です。 ただ、台地上にあって地盤が良いだけでは十分ではありません。 これから人口が大幅に伸びることはないことを前提にすれば、国内外の投資マネーが集中するところにマンションなどのプロパティを持つべきです。 一言で言えば、外国人にもわかりやすい立地、具体的には麻布、青山、広尾、六本木、赤坂などです。 不動産業界には「土地は嘘をつかない」「不動産にお買い得なし」という金言があります。 これらの場所は価格も高いですが、価値もブランド力も高く、値崩れしない。つまり、資産価値を保つことができるのです。
◆人流 もう1つの視点は、人の出入(ではい)りです。 これはブランド立地でなくても、多くの人々が出入りする人気エリアのことです。湾岸エリアや鉄道が交接するターミナル駅近辺が該当します。 ただし一口にターミナル駅と言っても、エリアによる属性があります。 下町エリアでは自然災害に脆弱(ぜいじゃく)と言わざるを得ませんし、また開発余地が少なければ、一度きりの開発では街の発展に限りがあります。 また、特急や急行が停車しない駅などは要注意です。 地盤は変わりませんが、人流(じんりゅう)は時代と共に変化します。 流行の街がその面影(おもかげ)すら失う様(さま)はよく見られる現象です。 したがって、都心マンションを買うコツは、「ブランド立地は中長期所有」「流行のエリアは時代を見据えて」となります。 言い換えれば、それ以外の中途半端なエリアで高額物件に手を出すのは、自身が気に入って住み続けるならかまいませんが、資産価値の維持や向上を狙うには得策ではありません。 今後は東京でさえ、これまで経験してきた一方的な右肩上がりの社会ではなくなります。 都心部のなかでも成長する街、取り残される街に階層格差がついていくのがこれからの日本であり、東京なのです。 ※本稿は、『なぜマンションは高騰しているのか』(祥伝社新書)の一部を再編集したものです。
牧野知弘
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