市有林を脱炭素活用 尾鷲市初、LINEヤフーと Jクレジット 三重
【尾鷲】三重県の尾鷲市とLINEヤフー(東京都)は30日、同市九鬼町の市有林約90ヘクタールの二酸化炭素(CO2)吸収量500トンを「Jクレジット」として10年間売買する契約を結んだと発表した。契約は11月1日付。市のクレジット売却は初。 Jクレジットは、適切な森林管理によるCO2の吸収枠をクレジットとして販売、購入できる制度。市は令和3年度に市有林「みんなの森」の整備を始め、来年3月に人工林・天然林の昨年度分の吸収量1149トンを認証できる見通し。 同社は市の森林管理や里山の保全に賛同。令和3、4年度に企業版ふるさと納税を活用し、脱炭素促進の名目で総額5684万6千円を市に寄付した。市の活動を継続的に支援しようと、同社初の自治体からのクレジット購入が実現した。 契約では、同社自らによるCO2などの直接的な排出にあたる「スコープ1」をクレジットで相殺。市は売却益をみんなの森の整備、九木浦の磯焼けを起こす「ガンガゼ」駆除による藻場再生の原資とする。10年契約以後は5年ごとの更新。 同市向井の県立熊野古道センターで30日、売買契約締結式があり、加藤千速市長と同社の執行役員・サステナビリティ推進統括本部長の西田秀一氏が証書に署名した。 加藤市長は「生物多様性を成熟させる弾みとなる。尾鷲に焦点を当てていただいたことに感謝したい」とあいさつ。 西田氏は「森や海が豊かになると脱炭素の貢献につながる。社員自らみんなの森で木を育む活動に携わりたい」と話した。