自閉症の男性は悲痛な行動に出た 福祉法人で障害者虐待、役員が「股間をつかめ」 市役所はネグレクト告発を受け付けず
2人が「法人内で言っても変わらない」と訴えると「もっと言わないと」「指導監査は東京都(の役割)。だけど、都に行っても同じことを言われるだけ」と答えた。 2人が食い下がると、「虐待じゃない」「市は指導できない」と繰り返し、「もういいですか」と話を切り替えた。 不衛生な環境で生活させるのは、本当にネグレクトではないのか。障害者虐待に関する厚生労働省の自治体向け手引を見てみると、ネグレクトの例として「掃除しない」「劣悪な住環境で生活させる」と明記されていた。 厚労省の担当者は「ダニが発生するまで不衛生な状態であれば、虐待に当たる可能性は十分ある」。障害者虐待防止法は、虐待の発見者に市町村への通報を義務付けているが、小平市は取材に対し「法に沿って対応している」と繰り返した。 法人職員の2人はこれより前にも複数回、小平市に虐待を通報していた。市側は面倒に感じて、「通報」ではなく「相談」の扱いにしたとみられる。
▽法人の第三者委が行政の虐待認定を否定 実は、ときわ会は昨年以降、小平市と東村山市に虐待と認定された2件について、自ら調査・検証するという目的で第三者委員会を設置している。ただ、委員3人のうち1人は法人の監事(元職員)で、独立性を疑問視する声が出ている。 第三者委員会は昨年、法人自らが通報した1件については虐待を認定。一方、職員の内部告発だったもう1件では、今年3月にまとめた報告書で「虐待があったとは認められない」とした。 共同通信が入手したこの報告書などによると、グループホームで入居者への心理的虐待とネグレクトがあったと東村山市が昨年12月、認定していた。これに対し、委員会は(1)加害職員の言動について職員の間で認識が異なる(2)市の認定はあまりに厳格―などとした。 だが、東村山市が非常勤を含めホーム職員に幅広く話を聞いた一方、委員会は正職員4人に限定していた。 委員の弁護士は、職員向け説明会でこの点について理由を問われると、「法人からの依頼がそういう形だったので」と発言。「『4人だけでいい』と?」という質問にも「はい」と答えたが、その後「第三者委員会としての判断だ」と訂正した。