自閉症の男性は悲痛な行動に出た 福祉法人で障害者虐待、役員が「股間をつかめ」 市役所はネグレクト告発を受け付けず
・髪の毛をつかむ ・投げ飛ばす これらの暴行や暴言のうち、施設4カ所での職員約10人による虐待を昨年以降、東村山市と小平市、東久留米市が認定。東京都は9月上旬、障害者総合支援法に基づき立ち入り検査した。 ▽虐待通報者の情報漏えいの疑いも ただ、小平市の動きは鈍かった。既に5年ほど前には作業所での虐待の通報があったが、法人は「理事の1人が作業所の職員全員に話を聞き、結果を市に報告した。市から調査はなく、それで終わった」と説明している。小平市は調査を法人に“丸投げ”していた可能性がある。 小平市から法人に通報者の情報が漏れていた疑いもある。 ある元職員は在職中の昨年6月、作業所での虐待疑いを小平市に通報したところ、当時の所長から通報したかどうか問われることもなく「通報した件で話を聞かせてほしい」と言われたと証言。 昨年秋以降、複数回通報した別の職員は今年1月、法人理事らに呼び出されて事情を聴かれ、後に「あなたから相談があったと市から聞いた」と言われたという。
障害者虐待防止法は、自治体職員が通報者の情報を漏らすことを禁じている。小平市は取材に対し、漏えいを否定した。「法に沿って対応しており、通報者の情報を漏らしたことはない」。法人側にも取材したが、「通報者を特定したことはない」と答えた。 ▽「市に相談することじゃない」 虐待通報に対する小平市の対応では、こんなこともあった。昨年12月26日、法人の職員2人が市役所の障がい者支援課を訪れたときのことだ。入手した音声データによると、こんなやりとりが残っていた。 「グループホームで一部の職員が掃除をせず、ダニが発生したことと、職員の暴言について通報したい」。2人はそう伝え、「掃除しないのはネグレクトですよね」と訴えたが、応対した女性の課長補佐は「それ(ダニの発生)はネグレクトではない」と回答した。 通報を受理せず、こうも言った。「法人内で話し合って解決すべきことで、市に相談することじゃない。市で指導はできない。対応するよう法人には言ってある」