2023年の「新設法人」、過去最多の15.3万社 起業年齢は過去最高の平均48.4歳、シニア層に起業拡大
2023年の「起業年齢」 過去最高の48.4歳 シニアの起業目立つ
起業時点での代表者年齢が判明した新設法人の起業年齢をみると、2023年に新設された法人の代表者の平均年齢は48.4歳(速報値)となった。前年の48.2歳から0.2歳、過去5年で1歳以上も上昇するなど、起業年齢の高齢化が進んでいる。 年代別にみると、最も多いのは「40代」で、全体の31.9%を占めた。ただし、40代が占める割合は2019年をピークに低下傾向で推移している。コロナ禍前は4社に1社を占めた「30代」も、23年は2割未満の水準にとどまった。一方で、近年はシニア層の起業割合が高まっており、23年には「50代」が25.3%、「60代」が12.2%となった。
「東京都」が最多4.7万社 市区郡でトップは「港区(東京都)」、上位8区を東京都で占める
都道府県別(本社所在地、設立当時)にみると、設立数で最多は「東京都」で4万6598社だった。次いで「大阪府」(1万5723社)、「神奈川県」(1万228社)と、社数上位の都道府県はいずれも大都市部が中心だった。前年からの増加率で最も高いのは「沖縄県」の13.9%増(2132社→2428社)だった。インバウンドが回復した観光産業やIT関連産業を中心に起業が活発だったとみられる。 沖縄県に次いで増加率の高い「秋田県」「岩手県」(各13.7%増)は、ともに前年から減少した22年の反動増といった要因も想定されるものの、両県ともに近年は創業支援に注力する動きも見られ、これまで乏しかった起業機運に変化が生じている可能性がある。 市区郡別(本社所在地、設立当時)にみると、設立数で最多は「港区」で6856社だった。次いで多い「渋谷区」(5288社)、「中央区」(4377社)と合わせ、上位5区はいずれも東京都だった。東京都以外の市区郡で10位以内となったのは、7位の「大阪市中央区」(1847社)、8位の「大阪市北区」(1705社)の2区のみだった。
「副業の発展形」パート起業家が増加 起業マインドの変化、新設法人に与える影響注視
近年は政府による「スタートアップ育成5カ年計画」をはじめ、ベンチャーキャピタルや企業、行政など官民一体で起業支援が行われている。こうしたなかで、2023年は前年を大きく上回る15万社が設立されるなど、新設法人数は高い水準で推移した。30年ぶりとなる高水準の賃上げや国内への投資など、長期にわたるデフレ経済からの脱却が見据えられ、新陳代謝をさらに活発化させる一つの要因となる「新設法人」の動向が注目される。 また、近年は大手企業を中心に副業・兼業の解禁などが追い風となり、隙間時間に起業する「パートタイム起業家」が増えている。日本政策金融公庫が2023年11月に実施した調査※では、パートタイム起業家のうち、現在の職業が「勤務者(正社員)」と回答した割合が約4割を占めた。新しいビジネスを展開する「起業」は、給与収入などを得ながらライフスタイルに合わせて事業活動を行う「副業の発展形」といった性格を併せ持つようになっている。こうした起業に対する心理的ハードルの低下は、長期的に「起業を身近なものにする」という点で良い影響を及ぼしていくだろう。