巨人入りで決着も「複雑…楽天はもっと大事にできなかったのかな」田中将大のルーキー時代の二軍監督が語る「パワハラ報道への違和感」「復活への道筋」
“パワハラ報道”への違和感
プロの世界に踏み出した当初の寡黙で真摯な姿を見ていただけに、移籍にまつわる報道で後輩へのパワハラなどが伝えられたことについては、大きな違和感を抱いていた。 「チームの中で浮いていたとかそんな話もあるけど、彼はすごく幅がある人間で、しっかり話せばわかる奴だと思う。だからこそ、自由契約の経緯はすごく残念。金額どうこうという以前に、球団がもっと誠意を尽くして丁寧に話し合う道はなかったのかな。嶋(基宏)にしても、東日本大震災の時のスピーチといい球団の顔と言える存在だった。本来ならば楽天で最後にユニフォームを脱ぐような選手ですよ。今回の件も同じで、すごく複雑な思いがあります」 確かに田中将大と嶋はいずれも、歴史が浅い球団の中でレジェンドと言える存在だ。単なる戦力としてではなく、その選手の功績や球団が積み上げていくレガシーという視点があれば、もう少し違うコミュニケーションの方法があったのかもしれない。
「田中獲得」巨人のメリット
一方、獲得した巨人のメリットは何だろうか。4年ぶりにセ・リーグを制覇したチャンピオンチームは、今季登板1試合に終わった田中を戦力として、どう評価し、どのように起用していくのか。 「一番いい時の状態を10とすれば、今はやはり7くらいでしょう。(右肘の)手術明けということで今年はダメだったけれど、だからと言ってまるっきり勝てなくなったかといえばそうではない。まずは先発の6番手やローテーションの谷間で登板していって評価をされる。その先に居場所を探していくという形になると思います」 阿部慎之助監督には、日米通算200勝まであと3勝というレジェンドを起用していく難しさはある。連覇を目指す常勝軍団ゆえに、ある意味での“特別扱い”がチームに何らかの影響を及ぼす可能性もある。しかし松井氏は、「難しさはあっても、田中ならば大丈夫という判断があったからこそ巨人は獲得するのだ」と言う。
“レジェンド”起用の難しさ
「存在が大きすぎる選手だから難しい、という部分はもちろんありますが、それ以上にメリットがあるという判断でしょう。それが評価ですよね。あとは岩隈(久志)のように、という考えもあったと思う。現役最後の2年間、一軍登板はありませんでしたが若手選手にすごくいい影響を及ぼしたと聞きます。そういう影響力というか、何かを残して欲しいという部分もあるでしょうね。ただ個人的には田中には最後に投手としてもうひと花咲かせて欲しいですし、それができると信じています」 巨人は今オフ、中日で通算166セーブを挙げたライデル・マルティネスを獲得した。安定感抜群のマウンドで、今季は60試合に登板し2勝3敗43セーブ、防御率1.09。これまで2度のセーブ王を獲得している“絶対的守護神”だ。 「最近の野球でいうと、『ゲームを作るのは先発。勝つのは後ろ』。これは鉄則になっていると思います。結局、近年優勝を争っているチームを見るとどこも後ろが安定している。マルティネスがいて、大勢がいて8回、9回が決まれば、戦い方は本当に楽ですよ。先発が6回まで投げれば7回を誰に任せるのかだけ考えればいい。先発は5回まで3点以内に抑えてくれればいいわけですから、計算は立ちやすくなります」
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