バフェットが語る「慈善活動の意義とそこから学べること」
ウォーレン・バフェットと親密な関係にあると主張できる組織はそれほど多くはない。 2000年以来、バフェットは、ユニークな慈善投資手段を通じてサンフランシスコの社会正義を推進するGLIDE(グライド基金)を支援するため、5000万ドル以上の資金調達の手助けをしてきた。Power of One Charity Lunch Auction(パワー・オブ・ワン・チャリティ・ランチ・オークション)と名づけられた、バフェットとランチをともにする権利を得るためのオークションだ。 ジム・ハルペリンとスコット・ティルソンは、1万8000ドル(約277万円)という破格の値段でその席を手に入れたため、最も賢明な投資家として歴史に名を残すことになるだろう。昨年2022年の落札額は1900万ドル(約29億円)だった。GLIDEのCEOであるジーナ・フロマー博士とeBay(イーベイ)のCEOであるジェイミー・イアンノーネとの最近のディスカッションでは、これらの寄付によって可能になった、無料の食事プログラムや教育イニシアティブ、GLIDEメモリアル・チャーチの日曜礼拝が、人々の人生を変えるような影響を与えていると話した。 ランチの参加者の中にも、それによって人生が変わった人たちがいる。2010年にバフェットとディナーをした後、テッド・ウェシュラーはバークシャー・ハサウェイに就職した。262万6311ドル(約4億円)の投資に対するリターンとして悪くないだろう。 私は最近ウォーレン・バフェットと直接話す機会に恵まれたのだが、その話を聞くと、GLIDEを通した慈善活動が彼の人生にも深い影響を与えたことは間違いないと感じる。最初は亡き妻スージーといっしょに教会を訪れた一度きりのことだったのが、やがてそれは永続的なものと変わっていった。
「サンフランシスコはGLIDEを誇りに思うべきです」
以下は、ウォーレン・バフェットとの対談の抜粋である。彼とGLIDEとの関係、彼の慈善活動に対する考え方、そして、バフェットに代わり今年以降のランチオークションに参加することになった、セールスフォースCEOのマーク・ベニオフへの期待を聞いた。 ──GLIDEとの関係はどのように始まったのですか? また、最初から彼らとの慈善活動がこれほど深い関係に発展すると思っていましたか? スージーがいなければ、このようなことは始められなかったでしょう。GLIDEと、彼らが主催する日曜礼拝のことや、彼らが街で良いことをしていることは知っていました。 初めて(GLIDEの共同創立者)セシル・ウィリアムズ牧師の話を聞いたとき、その場に座り込んで 「これは本物だ 」と思ったのを覚えています。それ以来、私は夢中になりました。サンフランシスコはGLIDEを誇りに思うべきです。彼らはゴールデンゲートブリッジを作りましたが、GLIDEはそれとは何か別のものなのです。 ──ウィリアムズ牧師は、何千人もの人々の人生に触れながら、生涯を地域社会に奉仕し、4月22日に亡くなりました。彼の遺産はどのように受け継がれていくと思いますか? 私は、実質的に空き家となっていた教会から、若い黒人が自らの手でコミュニティを築いたという事実を誇りに思います。彼が活動する以前は、教会の威厳も、そこに訪れる人の数も減少の一途をたどっていました。 彼はその教会をサンフランシスコの人々にとって本当にすばらしいものへと変え、世間がすでに見限っていた人々を、一度たりとも忘れることはありませんでした。彼が始めたことは、国中に広がるモデルになりました。私は、彼がそのすべてを見届けることができたことを思うと、幸せな気持ちになります。彼が生んだ赤ちゃんは、すばらしい人の手で育てられ続けているのです。 ──GLIDEとその使命を支援する上で、ランチオークションでの経験はいかがでしたか? オークションのおかげで、偶然にもいろいろな良いことが起こりました。オークションを通じてすばらしい人々に出会えたし、自分のスケジュールに合わせてオークションに参加できました。