ドラ1を2人輩出、大学「4冠」の青学大はなぜ強くなったのか 安藤寧則監督が明かすチーム成長の過程
【少数精鋭で「全員が戦力」】 6月には、早稲田大を逆転で下して全日本選手権連覇を達成。続く秋のリーグ戦では西川、佐々木に加えて、小田康一郎(3年)も故障で戦線を離脱した。クリーンナップ不在の苦境に立たされたが、それでもチームは粘り強い戦いを見せ、全チームから勝ち点(※)を獲得して優勝をつかみ取った。 (※)リーグ戦で先に2勝したチームに与えられる。 日頃から「指導者ができることには限界がある。その先の部分は選手次第」と話す安藤監督は、東都2部だった青学大を率いることになった2019年以降、一貫して選手の自主性に重きを置いたチームづくりを行なってきた。 指揮官に就任した翌2020年の秋には、8季ぶりの2部優勝と1部昇格を達成。チームは日に日に力をつけ、2023年にチームは3冠を果たすなど強豪チームに成長した。 強さの理由を問われた安藤監督は「チーム力が結果に反映されたことが、一番の要因です」と答えた。部員が100人を超えることも珍しくない大学野球で、青学大の部員は44人(2024年6月・全日本選手権時点)。チームは「全員が戦力」の方針を掲げており、少数精鋭で勝利するために、監督自らが高校に出向いて"チームカラーに合う選手"を発掘し、チームに招き入れているという。 「選手に声をかけるかどうかは、僕が『一緒にやりたい』と思えるかどうかを一番大切にしていますが、客観的に見ると、高校時代の指導者から愛情を受けて育てられてきた選手が多いように感じます。大切にされてきたからこそ、いい表情で野球に取り組み、素晴らしいプレーが見せられるのではないかと思います」 4冠を達成した今季の4年生は、チームがまだ2部にいた時代に発掘した選手たち。高校3年時にコロナ禍が直撃し、春夏の甲子園が中止となる憂き目に遭った世代でもある。 安藤監督は、「当時は練習試合を観に行き、『選手とご縁をもらおう』と決めた数週間後に試合ができなくなったりする状況はありましたが、早めに動いていたこともあって影響はさほど受けませんでした」と振り返ったが、対面でのコミュニケーションが限られるなかでのチーム作りの難しさもあり、安藤監督は「手のかかった世代」と話す。 「本当にいい奴らですが、大勢の人と一緒に過ごした日々が少なかったせいか、僕の思いが伝わりにくい部分があった。対話に時間がかかったことはあったように思います」 それでも、安藤監督の的確なチームマネジメントもあり、「最後の1勝を手にし、ようやくたどり着くことができた」という4冠を成し遂げた。