「今読んでも怖すぎる…」もはやホラー『名探偵コナン』初期の「伝説のトラウマ回」
■犯人の行動が怖すぎた「山荘包帯男殺人事件」
犯人の行動が怖すぎると話題の「山荘包帯男殺人事件」(コミックス5巻収録)。この事件はおなじみのキャラクター・鈴木園子の原作での初登場エピソードでもある。このエピソードは作中随一の猟奇的な犯行であり、その残虐性はいまだに語り継がれている。 このエピソードでは、コナンと蘭が園子の招待を受け、鈴木家の別荘である山荘を訪れる。そこでは園子の姉・綾子の映研仲間の同窓会も行われていた。不気味なのは、蘭とコナンが山荘にたどり着く前、包帯でぐるぐる巻きの男が登場することだ。おまけに夜中になると、その「包帯男」にサークルメンバーの池田知佳子がさらわれてしまう。 コナンたちは包帯男と、その黒いマントから出ている知佳子の頭を窓越しに目撃。その後ふたりの姿は消え、森の中で知佳子の遺体だけが発見される。遺体はバラバラにされていて、その時点でかなりショッキングな描写だった。しかし、この事件が語り継がれているのは、そこに至る過程も特異だからだ。 実は窓越しに目撃されていた時点で、すでに知佳子はバラバラにされていた。首だけの知佳子をマントを使って体とつながっているように見せかけ、死亡時刻を誤認させたのである。 さらに犯人である高橋良一は、サークルメンバーとともに森の中を捜索していた時、ずっと服の中に知佳子の首を隠し持っていた。そんな恐ろしいものを肌身離さず持ち歩いていたわけだが、まったくそれを表情に出さず周りに悟らせなかったのだ……。 あまりにも恐ろしい犯行の手口で、先に紹介した津川館長のように直接的な恐怖ではないが、淡々と殺人とアリバイ作りを行っているのが恐ろしすぎた。
■ホラー要素満載の「幽霊屋敷殺人事件」
歩美や元太たちとの幽霊屋敷での冒険を描く、コミックス2巻収録の「幽霊屋敷殺人事件」。このエピソードで描かれる、謎の老婆から逃げ続ける恐怖体験は、子どもの頃に見ていまだに記憶に残っているという人も多いのではないだろうか。 ある日、コナンたちはお化けが出るとウワサされる洋館を探検をすることになる。すると、まずはトイレに行った光彦が、続いて食べ物の匂いにつられた元太も姿を消してしまった。コナンは何者かが彼らをさらっていると推理し、捜索を始める。そんな中、コナンと歩美は洋館内で不気味な長髪の女の姿を目撃してしまう。 暗闇でろうそくを持って歩く女は、明らかにただならぬ存在だ。歩美が「お、お化け~」と怯えていたが、それも無理はない。さらに、その女を追うと地下に檻があり、そこで雄叫びを上げる男が幽閉されていた。 実は、女は過去に屋敷で殺人を犯した息子を檻に入れ、食事を提供し続けている母親だったのだ。なりふり構わず息子を隠して守ろうとする彼女の姿は、強烈な印象を与えた。 悲鳴とともに消える子どもたち、幽霊のように不気味な女、幽閉されている毛むくじゃらの男……とホラー要素満載で、普段とはまたちがった味のあるエピソードである。初期のコナンには、こうしたホラーとミステリーが融合した回も意外と多かったのだ。 子どもも大人も楽しめる作品である『名探偵コナン』。ミステリーはもちろん、時にはホラー要素もあり、特に初期のエピソードでは「怖すぎる……」と恐れられているエピソードも多い。その中で、「津川館長」や「包帯男」といった、ファンの間で語り継がれる名キャラクターも生まれてきた。 ミステリーだけでなく、数多くの子どもたちにトラウマを与えたエピソードを大人になってから観返してみると、また新たな発見もあるのではないだろうか。
スパロウ