日本の与野党が主張する「大規模減税」「補助金給付」は無理筋だ… イギリスの失敗から考える
日本がイギリスの二の舞にならないために
日本では先の衆院選で、与野党ともに、最低賃金の引き上げや消費減税、給付金拡大といったバラマキ政策の強化を主張していた。総選挙の結果、与党である自民党と公明党が大幅に議席を減らし過半数割れとなったため、各党による駆け引きが激しさを増している。 今、日本の政策論争の中でも争点となっているのが、各党が主張するバラマキ政策だ。どのような決着するかはわからないが、バラマキ政策が強化され、財政の悪化は進む方向にあるのは間違いない。 財政悪化でイギリスのように「トリプル安」となった場合、何か手立てはあるのだろうか。 金利の急騰や株価の暴落は政府や日銀の政策で和らげることができても、円安を防ぐことは難しい。金利の急騰を抑える日銀が利上げなどできないし、また為替介入による円安防止にも限界があるからだ。 いずれにせよ、与野党の主張は目先の痛みの緩和に偏っており、中長期的な国民生活を見据えていない。一方の国民側も、こうしたバラマキ政策がかえって生活苦を長期化させることを理解する必要がある。 耳に聞こえの良い主張にばかり傾倒すると、日本もイギリスのように、金融市場から非常に厳しい評価を突き付けられることになりかねない。 ※寄稿は個人的見解であり、所属組織とは無関係です
土田 陽介