戸塚中継所でたすきをつなぐ創価大・吉田響（中）

◇２日　箱根駅伝・往路 　箱根の山へのこだわりを胸に、最初で最後の２区に参戦した創価大の吉田響（４年・東海大静岡翔洋）が、区間新記録で日本人歴代最速となる１時間５分４３秒の好タイムで１３人抜きを達成。復路５位の原動力となった。 　区間新記録３人という超高速レースで、東京国際大・エティーリには１３秒及ばなかったが、青学大の黒田朝を１秒上回った。歴史に名を刻んだ吉田は、表情を目まぐるしく変えた。まずは笑顔。 　「チームを勝たせて、最後に笑って終わるために『絶対に２区で区間新を出して、優勝してやる』という気持ちだった」 　決意の”下山”だった。東海大で２０２２年の箱根駅伝に初出場し、５区で区間２位。２３年春に創価大へ転入し、昨年も５区を駆けて区間９位。山のスペシャリストとして名をはせる夢があった。「気持ちを押し殺して、恩返しのためにやってきた。『山の神』になれなかったのは悔しいです」。声が震えた。 　登りに懸けた駅伝生活が、ラストスパートで結実した。難所の権太坂では１０位だった。そこから３位でたすきリレー。「絶対、負けたくない思い」と振り返って「（５区の経験が）生きましたね。最後の６００メートル、すごくきつかったけど走り切れた」。天下の険への思いが、吉田響の名をエース区間で輝かせる原動力になった。