MotoGPマシンに急接近!その差は約4秒!【2025ドゥカティ パニガーレV4S 海外試乗インプレ】
最新パニガーレの進化は普通のライダーに体感できるのか?
この進化は僕のようなサーキット走行が趣味というライダーに体感できるのだろうか?リリースを紐解いて印象的だったのは、キャリアを問わず多くのライダーがタイムアップすることを強調していること。これはフレームとスイングアームの横剛性を落とし、電子制御をよりわかりやすくして達成したことだろう。 約2カ月前にWDWで対面したパニガーレV4Sはシャープさが魅力で、今の時代にスーパースポーツの可能性を追求するドゥカティのフィロソフィーが伝わってきた。そして今回の試乗会場となったヴァレルンガで2度目の対面。フレームやスイングアームを手に取るとドゥカティのチャレンジがいかに大胆であるかを痛感した。徹底した肉抜きは驚愕で、とにかく軽いのだ。 タイヤはピレリ製のスリックを装着。試乗会は15分×6本があり、走行の度にエンジニアがオプションのデータロガーを見ながら僕の走りを解析してくれた。「MotoGPライダーのような気分を味わってね」とドゥカティのスタッフは笑う。こんな試乗会は初めてだ。 走り出して印象的なのは、高速域での車体の動き。その領域でパニガーレV4Sはとても軽い。1本目は先導付きだが、ラインをトレースしやすく、リズムも掴みやすい。 走行毎にペースを上げていく。コースとバイクに慣れるほどに僕の操作は、バイク頼り、電子制御頼りになっていく。こんなに頼って良いんだろうか……という遠慮はあるもののパニガーレV4Sは余裕の表情。頼るほどにハイスペックが身近になっていく感覚は、これまでのパニガーレになかったもの。だから、どんどんポジティブな気持ちが芽生え、その先の世界に期待が膨らんでいった。
予測型制御を搭載。リヤブレーキを自動調整する市販車初のレースeCBSを搭載
電子制御は、ドゥカティコルセが開発したドゥカティ・ビークル・オブザーバー(DVO)というアルゴリズムを使用。バイクの動きやライダーの操作を予測しながら制御するという領域に達した。 ライディングモードは、5つ(レースA、レースB、スポーツ、ロード、ウェット)から選べる。各モードによってトラクション、ウィリー、スライド、エンジンブレーキコントロール、そして電子制御式サスペンション3.0はデフォルトの設定があるものの、それぞれをピックアップして自分に合わせることも可能。どのスーパースポーツよりも大きなメーターは、そのセレクト作業自体がユニークだし、視認性も抜群だった。 さらに市販車初のレースeCBSはフロントをかけるとリヤも自動で調整してくれるというもの。7つのモードから選べ、今回はサーキット用のレース1とレース3をテスト。 目には見えないが、パニガーレV4Sはさらなる電脳化を促進。事前にリリースなどを読んでいたものの、実際にメーターを見ながら説明を聞き、直後に走行した時のリアリティといったらなかった。 何本か走り、加速方向の制御がパニガーレV4Sを馴染みやすしていることを体感。そして、減速方向のレースeCBSとABSの信者になるのにも時間はかからなかった。