【従来の6倍以上!?】歴代最高の耐磁性能を誇った1989年生まれのインヂュニア
1955年に発表され、現在もその系譜が脈々と受け継がれているIWCの耐磁時計“インヂュニア”。その初代モデルは、発表当時としては破格の1000ガウス(≒8万A/m)もの耐磁性能を有しており、ロレックスのミルガウス(56年)よりもひと足先に登場した“耐磁時計の金字塔”とも言えるモデルだ。 さて、そんなインヂュニアも今日にいたるまでにたびたびモデルチェンジが実施され、時代に合わせたアップデートやデザインが採用されている。ジェラルド・ジェンタによってデザインが刷新された“インヂュニア SL”(76年)のほか、クロノメーター仕様や、ビッグケース仕様、初代モデルの意匠を再現したモデル、さらにはシースルーバック仕様で耐磁性能を備えていない”インヂュニア”までと様々だ。 【画像:ケースサイドに誇らしげに刻まれた耐磁性能】
そんな歴代インヂュニアのなかでも群を抜く50万A/mという驚異的な耐磁性能を誇ったのが、今回紹介する“インヂュニア・オートマティック”である。 発表は1989年。それまでのインヂュニアは軟鉄製のインナーケースを採用していたのに対し、本作ではそれを廃し、代わりにニオブ・ジルコニウム合金製のヒゲゼンマイを採用するなどで圧倒的な耐磁性能を実現した。ケースサイドには誇らしげに“500,000A/m”の文字が刻印されている。 もっとも、製造コストも決して低くはなかったのだろう。製造期間は92年頃までのわずか3年ほどで、約1600本しか製造されなかったとされる。
文◎Watch LIFE NEWS編集部