松任谷正隆と小原礼が語る、前人未到のバンドSKYEの最新アルバム『Collage』前編
やり残したことって言ったら、バンドかなっていうのはあった
ホームアゲイン / SKYE 田家:作詞が林立夫さん、作曲が鈴木茂さん、小原礼さん、松任谷正隆さん。これも全員で。 小原:そうです。こっちの曲が最初に担ぎ出そうって言った曲です、茂を。さっきのは僕からスタートしたので、「radio」の方は。 田家:作ったときにはどういう曲をみたいなのはあったんですか? 小原:「ホームアゲイン」の方は林の詞が出てきたので、それでじゃんけんしたんだっけ。 松任谷:どうだっけね。でも、小原は大体早いよね。すぐにパってテーマ作るよね。 小原:でも、「ホームアゲイン」のときは茂が一番最初ってことになったので、茂ができてこないとこっちが追いついていけないので、はやくはやくって言って。 田家:アルバムの1曲目というのは決まっていたんですか? 松任谷:いや、それは後で。 田家:そんな話も後ほどゆっくりお聴きしようと思います。 ホームアゲイン / SKYE 田家:再びアルバムの1曲目「ホームアゲイン」です。このイントロのピアノのチャララってだけでおー!って感じがありますもんね。 松任谷:それはなんとなく茂のメロディを意識して、茂がこんな感じが好きなんじゃないの?っていう感じでやりましたね。 田家:SKYEのそもそもの話をお訊きしたいのですが、小原礼さんが2019年にもう1回やろうよとおっしゃって。 小原:そうです。佐野史郎くんと久しぶりに会いまして、そのときにライブをしたいって史郎くんが言っていて。じゃあ、3人で茂と林と僕とでやろうかってライブをやったんですよ。そうすると、アルバムを作りたいということになり、じゃあレコーディングをしようと。レコーディングを3人でして、キーボードがほしいねっていうことになって、それで林がマンタに電話をすると。そういう流れでしたね。 田家:アルバム『禁断の果実』はSKYE with 松任谷正隆というクレジットですもんね。 小原:そうです。そのときはまだマンタはSKYEのメンバーではなかったので。 松任谷:大体バンドをやるっていう話にもなってなかった。 小原:そうそう、なってなかった。 松任谷:このアルバムの後、『禁断の果実』の後に林から連絡があって、バンドをやりたいんだけどっていう。僕らが昔から集まる一億っていう店が六本木にあるんですけど、そこに呼び出されてみんなでやろうって言われて。 小原:そう、マネージャーさんとか抜きで、4人だけで。 田家:みんな揃っていたんですか。 松任谷:はい、そのとき4人で初めて会って。 田家:誘われたときはどう思われたんですか? 松任谷:僕、バンドは本当は好きじゃなかったんですけど。 小原:なんか苦い思い出があるんだよね。 松任谷:まあね(笑)。基本的に向いてないんだけど、でもやっぱりやり残したことって言ったら、バンドかなっていうのはあったので、じゃあやってみようかなって感じですね。 田家:林さんのホームってこれはイメージがあるんでしょうかね。 小原:昭和の一家団欒のちゃぶ台の感じじゃないですかね。で、野球中継を見てる。 松任谷:僕にはわりと最初は理解できなかったんですけどね。どういう世界なんだかよくわからないし、林らしくもないしなぁみたいな。 田家:なるほど、林さんはそういう感じじゃなかった。 松任谷:もうちょっと気取ってる(笑)。 小原:そうだね(笑)。 田家:このホームっていう言葉の中に自分たちの帰るべき場所みたいな意味もあるんだとしたら、SKYEはそういう場所でしょう? 小原:まあ、そうなのかもしれないですね。僕はこの間、SKYEは実家って言ったら、マンタは別荘って言ってた(笑)。 松任谷:はははは! 田家:なるほどね(笑)。この曲も全員でお作りになって、それは作ったときにこれはみんなでやってよかったなみたいな感じがあったんですか? 小原:僕はそう思いました。茂が思いがけずに頭のメロディを出してきてくれたので、でも歌詞と全然合わない。数は合わない、全く長くなっちゃっていて、林が書き直したんだよね。 田家:歌っている順番は曲を書いている順番なんですか? 小原:そうです。 松任谷:僕が最後にとにかく落とし前をつける役。 田家:最初は茂さんですよね。 小原:そうです。 田家:林さんは? 小原:林はコーラスを後からここやってって言われて、で、医者から止められてるんだって言いながら。 松任谷:うれしそうに(笑)。 小原:うれしそうに歌う(笑)。