現在の持ち家の不満は収納?広さ?利便性?次の住み替え先で求める条件とは
今よりコンパクトな家に住みたい派も一定数存在する
次に、住み替えたい理由を聞くと、(1)戸建→戸建は「使いやすい間取りにしたい」(34.9%)、(2)集合→戸建は「より広いところに住みたい」(34.8%)、(3)戸建→集合は「小さなコンパクトな家に住みたい」(40%)、(4)集合→集合は、「新しい設備・仕様の家に住みたい」(28.6%)が、それぞれ1位となった。 興味深いのは、「小さな、コンパクトな家に住みたいから」が、(3)戸建→集合だけでなく、他の住み替えパターンでも一定のニーズがあることだ。広さに不安が強く見られた(2)集合→戸建こそ「より広いところ」を多く選んでいるが、(1)戸建→戸建も(4)の集合→集合も、広さよりコンパクトさを選ぶ人のほうが多くなっている。 年齢層が高くなるほど、夫婦二人の生活を考えて、部屋数の多い住宅からよりコンパクトな住宅に住み替えようということだろう。
「今より広く」で求める面積は4パターンで違いも
では、その広さについて、さらに深掘りしてみよう。 今の住宅と比べて、住み替え先の広さをどうしたいかを聞くと、(3)戸建→集合では、「コンパクトにしたい」「かなりコンパクトにしたい」が6割を超えているが、他は「広くしたい」「かなり広くしたい」が4割を超え、(2)集合→戸建にいたっては6割を超えている。 ところが、求める住まいの面積を具体的な数値で聞くと、コンパクトにしたい人が多い(3)戸建→集合より、(4)集合→集合のほうが狭い面積を求めているように見える。これは、基本的に戸建の建物面積のほうが広いことに起因しているのだろう。 例えば、東京カンテイが公表した「マンション・一戸建て住宅データ白書 2023」で、首都圏のデータを見ると、2023年の住宅の平均面積は新築マンションが62.64平米であるのに対し、新築一戸建ては98.4平米とかなり開きがあり、中古を見てもそれぞれの平均面積はさほど変わらない。 調査対象者の中には、実際に住宅市場に出回っているものよりも、より広い面積を希望しているように見える。特に、(3)戸建→集合で最も希望が多かった「80~90平米」(25%)のマンションを実際に探すのは、物件数や予算などから、それほど簡単なことではないかもしれない。
筆者が思うに、住み替えることで現在の不満を解消するのは重要なことだ。今の家族構成やライフスタイルに応じて、快適な住まいで暮らしたほうがよいからだ。 とはいえ、例えば夫婦2人の生活を考えるなら、この際に不要なものを処分し、最低限必要な広さや間取りを考えるといった、思い切った発想も必要だろう。せっかく住み替えるなら、今の住宅を引きずらずに白紙から考えてみる、ということも検討してほしいと思う。 ●関連サイト 旭化成ホームズ:住居の不満と将来の住替えニーズを探る「首都圏における持家から持家への住替意識調査」
山本 久美子