生きた心地がしませんでした…大切に貯めてきた老後資金がみるみるうちに「マイナス400万円」に。58歳FXトレーダーの“楽観的判断”が招いた悲劇
資金半減に至った分岐点は?
高橋さんが資金を半減させてしまった主な要因は、次の2つの行動にあります。 ・安易にポジションを大きく持ち越した ・損失が膨らんだところで無計画にナンピンした ポイントは、「安易に」「無計画に」というところ。何かしらの根拠があったわけではなく、損失を確定させたくないという感情に流されての行動です。これは、相場が自分の思惑通りに動かなかったときにどうするのか、トレードルールを明確にできていなかったことが大きく影響していると考えられます。 また、当時はサブプライムローン問題によって欧米銀行が大きな痛手を受けるなど、市場は混沌とした状態にありました。これに対応して米国政策金利の引き下げが進んでおり、ドル安円高が進むシナリオも考えられたはずです。 そんな中で助かりたい一心で円安方向にポジションを膨らませたのは、リスクが大きい選択だったといえるでしょう。
データで見る退場トレーダーの特徴
FXにおける大失敗を避けるには、どうすれば良いのでしょうか。FXで安定的に利益を得ている人(以下、「FX上級者」と表記)とFXをやめた人を対象に行った弊社の調査において、次のような興味深い結果が出ています[図表2]。 FX上級者にトレードルールが決まっているか質問したところ、エントリー/取引数量/利食い/損切りのいずれの局面でも、大半の人が「明確に決めている/何となく決めている」と回答する結果となりました。また、ほぼ半数が「明確に決めている」と回答しており、トレードルールを重要視している姿勢が見られます。 続いて、同様の質問をFXをやめた人に行った結果です[図表3]。 FXをやめた人についても、過半数が「明確に決めている/何となく決めている」と回答していますが、FX上級者に比べると低い割合です。特に「明確に決めている」と回答した人は、かなりの少数派となっていることがわかります。 高橋さんも、トレードルールが曖昧だったところがありました。適切なトレードルールを明確に決められるか、それをしっかり守って投資判断し続けられるか。これが、リスクを抑えながらFXに取り組んでいく上で、非常に重要な要素になると考えられます。