「痛そう」「怖い」とイメージされがちな「白内障手術」 施術は局所麻酔で10~30分、一度行えば再び症状が出ることはない 近視、遠視、乱視、老眼も補正可
交通事故のリスクを回避
実際に白内障手術を受けた人たちからは、「見え方が変わって、人生も変わった」という声が聞こえてくる。 埼玉県に住む主婦、Aさん(49才)は、加齢による症状ではなく持病の糖尿病が引き起こした白内障で、失明のリスクもあった。 「ちょうど老眼が始まっていたので眼鏡で調節をすれば日常生活に不便はないくらいの症状でしたが、糖尿病の診断を受け網膜?離からの失明が怖くて手術を決意しました。 笑気麻酔(鎮静効果のある笑気ガスを鼻から吸引する麻酔)でうとうとしているうちに手術が終わり、術後は視界がパーッと開けたような、曇り空が急に晴れたような感じでした。老眼もすっかり治ってしまって。手術に不安もありましたが、失明の恐怖から逃れられたのがいちばんよかったです」 千葉県で介護士として働くBさん(58才)も続ける。 「利用者さんの送迎もするので、目が見えにくくなって距離感がつかめず運転に支障が出てしまうのが心配でした。前の車との車間距離を異様にとるようになってしまったりと、利用者さんのご家族まで不安にさせてしまい、事故を起こしてからでは遅いと手術を決意したんです。 15分くらいですぐに終わって、ビクビクしていたのに拍子抜け。目を開けたらもう別世界でした。油膜でギラギラだったフロントガラスがキュッとピカピカになった感じです。長時間の運転も苦にならなくなり、事故のリスクもぐんと減らせた。不安要素がないと、ストレスがなくて精神的にもすごく楽です」 平松さんのもとにも、手術を受けた患者からの驚きの声が届いている。 「目が見えにくくなると、できないことって意外と多いんです。手術を受けて、『趣味のテニスができるようになった』『テレビもはっきり見える』と日常のささいなことから楽しみまでできることが増え、それが活力につながります」(平松さん・以下同)
色彩が明るく鮮やかに見える
手術による効果は、視力アップだけではないという。 「白内障は視力低下だけではなく色がわかりにくくなるという症状もあります。暗いところで台所仕事をしていると、ガスの青い炎がわからなくて、コンロの火がついていることに気づかないという危険もある。手術は、そういったリスクを回避し、色彩をよりはっきり認識できるようになる効果が得られます」 都内でダンス講師をするCさん(63才)も、術後に色の識別ができるようになり感動したひとり。 「見えにくさを感じて眼科を受診し、白内障と言われたときは“おばあさんみたいじゃない”と思って落ち込みました。充分、おばあさんなんですけど(笑い)。認めたくない気持ちもあったし、目を使う仕事でもなかったので手術には踏み切れなかったんです。 でもだんだん色がわからないというか、娘や孫から『服の趣味が変わって派手になった』『化粧がおてもやんみたい』と言われるようになって。色の識別が正しくできなくなっていたせいで、洋服の色がどんどん派手になって、メイクもどんどん濃くなっていたのに自覚がなかった。 1泊入院で手術を受けたらすごくよく見えるようになり、目をこらすことがなくなったので、おでこにあったサルみたいなしわも薄くなりました。疲れ目もなくなったせいか、目元のクマも以前より目立たなくなりましたよ。結果的に白内障の手術を受けたことで若返りを実感しています」 神奈川県で飲食店を経営するDさん(69才)は、見えにくさでイライラすることがなくなり仕事もスムーズにできるようになったと話す。 「老人性白内障と診断されたときは“年のせいだからしょうがない”くらいに考えていて、目薬で持ちこたえていたんですけど、とにかく視力が悪くなってしまって、どんどん老眼鏡が合わなくなったんです。読書が趣味なので余計進行してしまったみたい。ルーペで本を読むのも疲れるし、調味料の分量は量れないし、包丁で指は切るし、肩こりはひどくなるしで、日常の不便さにイラつくようになって、お医者さんから手術をすすめられて受けることにしました。 手術というものをいままで経験したことがなかったから不安はありましたけど、麻酔がよく効いていたせいか、目の前がもやもやしているうちに終わりました。 術後はものがはっきり見えるだけでなく、食材の色も見分けられるので新鮮なものを選ぶことができるし、字がきれいになりました。以前はバランスよく字が書けなくて下手くそだったんですよ。老眼も治って手や顔のシミがよく見えるようになったのはガッカリですけど、現状をシビアに把握することで適切なケアができるようになったと考えればかえってよかったかな(笑い)」 ゴルフが趣味というEさん(52才)は手術を受けた後、プレー中に感動したと話す。 「ゴルフボールが見えやすくなったのはもちろんですが、以前は緑一色にしか見えなかった木々のグラデーションがよくわかるようになった。空や海の色の変化も感じられて、見慣れているはずの景色がまるで別世界のように鮮やかに見えるんです。 自然の美しさを当たり前のように楽しめるようになって、ゴルフがより楽しくなりました」