最高の舞台でつかんだ感覚「カープ、サンフレを追いかけて…」山崎稜が広島を朱色に染めるとき
■「今後もずっとあるテーマ」
特に今シーズンの開幕戦で悔しい思いをしたぶん、シュートへの意欲はより高い。広島は群馬との開幕節で2連敗を喫した。第1戦は相手の強固なディフェンスに苦しみ、昨シーズン王者は転校初日かのようなおとなしさで完敗。先発した山崎も今シーズンBリーグの初得点を決めたものの、「本来であれば打っていた場面でシュートを躊躇してしまったり、本来持っている思いきりの良さが出せなかったり、自分らしくないと思うシチュエーションがあった」と積極性を欠いたため、「シューターはまずは打たなきゃ始まらないし、打ってなんぼだと思う。そこは自分のひとつの使命でもあるし、チームにもたらせるいい部分でもあるので、どんどんシュートを打っていきたい」と内なる闘志を燃やしている。 ドラゴンフライズは初優勝を果たしたことで、今シーズンますます地元の注目を浴びている。広島は広島東洋カープやサンフレッチェ広島を筆頭にスポーツ人気が高いところ。試合がある日は、カープの球場がある広島駅周辺はユニフォームを着た観客によって赤く染まり、サンフレッチェの新スタジアムがある街中は紫で染まる。 山崎が昨シーズンの優勝後に「カープやサンフレに負けたくない」と当時加入1年目ながらも話していたのは、そんな広島の日常を肌で感じ、刺激を受けていたから。「今でこそBリーグは大きくなってきているけど、広島においてはカープ、サンフレッチェの盛り上がりにまだまだ自分たちは及ばないところにある。それを広島に来てからすごく感じていた」と改めて思いを明かす。 「バスケットでもちゃんと結果を残すことで初めて広島において野球、サッカーに次いでバスケットがあると認知されてくると思っていた。だからこうして(優勝という)結果を残せたことが重要だし、まだまだ肩は並んではないと思うけど、それでも1歩近づけたと思う。いろんなスポーツが強くて、広島が盛り上がるのはすごくいいし、その中で自分たちが引けを取りたくない。カープ、サンフレッチェの背中を追いかけて、追い越していけるような立場でありたいと思うので、それは今後もずっとあるテーマだと思う」 日本一になって注目される今シーズン、ドラゴンフライズカラーの朱色に染まった光景を増やしていきたい。「僕らも(ブースターが)そういった光景を作ってくれることがうれしいし、ホームゲームですごく力をもらえるので、もっとそういった光景を作っていきたい」。スポーツに熱い街をバスケットボールでさらに盛り上げるために。山崎は最高の舞台でつかんだ感覚を信じ、鮮やかなシュートで広島を朱色に染めていく。 取材・文=湊昂大
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