髙田氏・小泉氏・合六氏と徹底分析…急展開のウクライナ情勢とトランプ氏当選の影響度
トランプ就任を前に日本がウクライナから学ぶべきこと
竹俣紅キャスター: ロシアが最新の中距離弾道ミサイル「オレシュニク」を発射。ウクライナ軍の当初の発表ではICBM(大陸間弾道ミサイル)とされたが、プーチン大統領は自ら新型のIRBM(中距離弾道ミサイル)だと述べた。 小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター准教授: ヨーロッパを脅す意図があるのでは。ヨーロッパとロシア間の核戦争はあり得るかも、ヨーロッパは核兵器の数も少なくロシアのような早期警戒システムもない、何よりアメリカが守ってくれないかも、と。皆さんのせいでかつての中距離ミサイル危機と同じ状況に戻ってしまったと言いたいのだと思う。 合六強 二松学舎大学国際政治経済学部准教授: 思い出すのは旧ソ連による1970年代のIRBM「SS-20」配備。重要なのは軍事的ではなく政治的な意味合い、米欧を切り離す「デカップリング」だった。アメリカには届かないがヨーロッパの全大都市は射程に入る。今回政治的な意味でのターゲットがあるなら、エスカレーションを恐れまだミサイルを出していないドイツだと思う。さらにトランプがウクライナやヨーロッパから撤退する傾向なら、ヨーロッパには一緒にウクライナを見捨てるか一致団結してさらに踏み込んだ支援をするかの分岐点となる。だからロシアはミサイルで脅したいのでは。 髙田克樹 元陸上総隊司令官 元陸将: 実はこのミサイル・ギャップが世界で最も深刻なのは東アジア。中国が持つ短距離・中距離弾道ミサイルの総数と日米が持つ数を比べると、少なく見積もって1000対0、多く見積もれば2800対0。アメリカが配備していないから。弾は台湾と日本に落ちてくる一方、アメリカ本土には届かない。東アジアでも同様の状況で日米のデカップリングが起きつつあると思う。我々は真剣に認識すべき。 竹俣紅キャスター: ウクライナとロシアの戦争のエスカレーションは今後どこまで進む可能性があるか。 髙田克樹 元陸上総隊司令官 元陸将: 小泉先生がよくおっしゃる水平方向と垂直方向のエスカレーションを考えると、ロシアの垂直方向は核のカードしか残っていない。一方で水平方向では北朝鮮の参戦など同志国が集まってくれることがある。ウクライナ側の垂直方向では、米軍の新型ミサイル等が来れば全く違ったステージになる。中国やロシアの核に対し日米の通常戦力がどう抑止できるかという点で、この2カ月をよく見ておかないといけない。 反町理キャスター: プーチン大統領とドイツのショルツ首相の電話会談があった。ウクライナのゼレンスキー大統領は「電話協議は対露融和論を強めるパンドラの箱を開けた、これはプーチン大統領が長い間望んでいたことだ」と批判。 合六強 二松学舎大学国際政治経済学部准教授: 誰かが電話をかければ電話をかけるハードルが低くなる恐れをゼレンスキーは示していると思う。ただショルツが電話したのは、トランプがプーチンと話すと言っている中でヨーロッパでの出来事について米露が頭越しに話すことが問題だから。これ自体はよく理解できる。問題はショルツがヨーロッパの周辺諸国と歩調を合わせなかったこと、そしてショルツ政権がまもなく終わりそうなこと。 反町理キャスター: オレシュニクは当然アジアに配備される可能性もある。髙田さんの話にあった中国、また北朝鮮も含めれば、日本はものすごい数の核搭載可能なミサイルに囲まれる。トランプ次期大統領がアメリカファーストのポリシーに徹底的に固執して、アメリカに届かないのだからいいと言うかも。日本はその状況でどうすればいいか。 小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター准教授: その状況はずっと前から。だからといって直ちに日本国が滅びていないのは、一つはアメリカの拡大抑止を何が何でも引っ張り込んでいるから。トランプ政権だからと諦めないで引き続き努力すべき。その意味でウクライナに見習うべき部分はある。ウクライナがATACMSで弾薬庫を叩くように攻撃力の源になる部分だけでも叩く能力を持つなど、考えることは多くある。 (「BSフジLIVEプライムニュース」11月25日放送より)
BSフジLIVE プライムニュース
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