「服造」を0から探求 早稲田大学繊維研究会、ショーに向けて服作りにまい進
私自身は数少ない服飾学生の身なのですが、皆の服作りに対する純度の高いモチベーションや理論に捉われない自由な発想には、いつも刺激を受けています。
ファッション批評を掲げる繊維研究会は、単に批評をして終わりとはしない「理論と実践の両面からの活動」を目指しています。 まさに「実践」の役割を大きく担う服造はショーで発表するルックを「メディアとしての衣服」と捉え、コンセプトをもとに各々がそこから連想したテーマを立てて、デザインへと落とし込みます。
WWD:今年度の特徴は?
小山:「みえないもの」に焦点を当てる今年度は、さまざまな角度からデザイン画が集まりました。陸から見る水中といった具体的なみえないものをモチーフにしたものもあれば、記憶や感情などの抽象的な概念をデザインソースにしたものもあり、自身にとっての私的なみえないものをいかに表現するかに注力したアプローチもあれば、観客にみえないものを見出してもらうことを促すためのアプローチもあり、その視点やデザインへの落とし込み方にもそれぞれの感性や個性、学んでいる専門分野が滲み出るのがおもしろいです。ただかわいさや華やかさを追求するだけでは獲得し得ない厚みと奥行きが、繊維研究会のルックにはあると、わがことながら思います。
WWD:12月のファッションショーとは別に、タキヒヨーとDress the Lifeとの合同展示会を計画している。
小山:本展示会では、タキヒヨーから生分解性のあるPLA素材を使用した生地を、Dress the Lifeからドレス制作時に生じる残布をご提供いただき、繊維研究会で作品を製作しました。ファッション業界に批評意識を持ち、真摯な姿勢でデザインに向き合う私たちにしかできないサステナブルなアプローチがあると思っています。複数の企業と1つの取り組みを行うことも、展示という発表形態自体も初の試みであるため、初めて直面するさまざまな課題に試行錯誤しながらも、開催へ向け奮闘しているところです。ぜひ足をお運びいただけたらうれしいです。
■タキヒヨー×Dress the Life×繊維研究会合同展示会「夢幻泡影」 日程:11月17日 時間:10:30~15:30 場所:BABABASE 住所:東京都豊島区高田3‐3‐16 広研印刷株式会社 新館1階