1年で一番暑い季節「大暑」はビタミンカラーのブーケに元気をもらう【二十四節気とフローリスト】
古くから伝わる「二十四節気」は、春夏秋冬の季節を6つずつに分け、それぞれの期間に季節の変化を表す名前をつけたもの。気忙しい日々だからこそ、暦に合わせて咲く色とりどりの花から活力をチャージしたい。今回は夏本番。暑い日差しが降りそそぐ大暑にぴったりの花束を東京・中目黒の「STAYFLOWER」に束ねてもらった 【写真】置いてあるだけで、元気がもらえる「大暑」の花束
大暑7月22日~8月6日
1年で一番暑い季節、大暑の訪れを告げる、蝉時雨。昨今は炎昼という言葉がぴったりなほど、酷暑が続く時季。真夏の日差しもものともしない黄色のひまわりや、鮮やかなピンクの百日紅が夏疲れした人々に元気を与えてくれる。納涼祭りや花火大会も数多く開催され、厳しい暑さを一時でも忘れさせてくれる。 大暑が過ぎれば、暦の上では立秋、秋がはじまる。次の季節の到来を待ちながら暑中見舞いを綴ったり、土用の丑の日には“う”のつくものを食べて、夏負けしないよう乗り切りたい。 ひまわりや笹百合、アンスリウムなど、夏を感じさせる花に、リシマキアの可憐な小花、スモークツリーなどがアクセントになる花束は、ジンジャーやエキセナアの赤、ラッピングで使われたイエローのセロファンが入ることにより、花火のような力強さも表現されている。 大暑でありながら、秋の気配のする花の入荷がはじまるのもこの頃。ペニセタムの穂で立秋の到来感じさせ、季節の移ろいも束ねている。感度の高い人への贈り物にぴったりの花束だ。
STAYFLOWER
2021年に代田橋ではじめての実店舗をオープンし、2023年に2店舗目を中目黒にオープンさせた「STAYFLOWER」。地下への階段を降りてガラスの引き戸を開けると、ヴィンテージ家具の什器に、最近再び注目されているCDで流す音楽。今のカルチャーを感じる店内に、ヴィンテージのデスクに置かれた花々が空間の良いアクセントになっている。 店主の中井侃矢さんは会社員から花屋に転身。オンラインストアからショップをスタートさせた珍しい経歴の持ち主だ。「僕が好きな花を仕入れているんです。琴線に触れた花ばかりを置いてしまう」と笑うが、どこかほっとするようなラインナップ。トレンドだけではなく、皆が知る花もあえて取り入れていると話す。 「異なる質感の花が並ぶように心がけていますね。あと、店内に冷蔵庫を置いていないので、店舗の空調だけで管理していること、買った後も長く楽しんでもらいたいので、持ちの良いものを選ぶようにしています」 店内の奥には、下北沢のヴィンテージショップ「SOWHAT VINTAGE」がセレクトしたフラワーベースが並び、店舗の中央に置かれたチェッカーフラッグのテーブルでは、フラワーベースと花を組み合わせて展示し、買った後のイメージを想起しやすい工夫も。中目黒店では広さを活かし、イベントや展示を行ったり、ブーケの束ね方を学べるワークショップを開いたりと、コミュニケーションの場としても活用させている。 お店をぐるっと見回しているだけで、新しい発見が見つかる花屋。いつもとは違う刺激と感性を求めているときに、尋ねてみてはいかがだろうか。 STAYFLOWER ステイフラワー 住所:東京都目黒区青葉台1-21-6 B1 定休日:なし (不定休) 営業時間:11:00~19:00 定休日はインスタグラムでお知らせ 参考文献:『花と短歌でめぐる 二十四節気 花のこよみ』株式会社KADOKAWA 『くらしのこよみ 七十二候の料理帖』平凡社 山下景子『二十四節気と七十二候の季節手帖』 成美堂出版 TEXT BY YURI TAKAHASHI