姿消した中国漁船 緊張続く韓国・延坪島で北朝鮮側海域の変化に不安抱く「失郷民」
木に刺さるバッジ、砲弾の穴…14年前の傷跡深く
韓国北西部・延坪島を歩くと、2010年11月に北朝鮮から砲撃を受けた傷跡が生々しく残っていた。 島北部では、砲弾の衝撃で体がバラバラになった軍人が付けていたバッジが吹き飛び、木の幹に突き刺さっていた。惨事を伝えるため、透明な半球形のカバーで保存されている。木の前の道路は砲弾で穴が開いたまま。衝撃の大きさが伝わってくる。 島南部の市街地の塀も、砲弾で分厚いコンクリートに大きな穴が開き、鉄筋がむき出しになっていた。近くにいた島民に聞くと「砲弾が落ちた衝撃で、この辺りの民家の窓ガラスは全部割れた」という。砲弾の威力とともに、北朝鮮が自国から視認できない南側の市街地に砲弾を命中させる高い精度を持っていることも島民を驚かせた。 砲撃後、島内8カ所に避難所が設けられた。空調設備や非常食、運動器具なども整備され、長期間の避難にも耐えられるようになっている。今年1月に北朝鮮がNLLの北側に砲撃し、韓国軍が対抗措置として砲撃した際には、島内放送や緊急メールで島民に避難命令が出され、500人以上が避難所で過ごした。 【延坪島砲撃事件】2010年11月23日午後2時半すぎ、北朝鮮が韓国・延坪島に向けて砲弾約170発を発射し、約80発が島に着弾。韓国軍人2人と民間人2人が死亡し、19人が負傷した。韓国軍も北朝鮮に80発の対抗射撃をした。北朝鮮は韓国軍による訓練の対抗措置と主張。北朝鮮の労働新聞は12年2月、金正恩(キム・ジョンウン)氏が砲撃を指揮したと公式に認めた。