スマホ向け縦型ドラマは1話3分、令和に響け「島耕作のつぶやき」 中尾明慶主演
朝日放送テレビが漫画「島耕作」シリーズをもとにしたドラマ「課長 島耕作のつぶやき」をYouTubeやXなどで無料配信している。隙間時間にスマートフォンでの視聴を念頭に、1話3分ほどで縦画面で制作された。テレビより幅の狭い画面内での演技に主演の中尾明慶は「撮影中に今、僕映ってます?と思って後で映像を見たら、映ってなかった」と笑いつつも、新たな挑戦を楽しんだようだ。 【場面カット】「課長 島耕作のつぶやき」第1話から。島耕作(中尾明慶)は上司との面談直前、ワイシャツの襟にキスマークを残され慌てる 慣れない縦画面ドラマの撮影。中尾は「役者は映ってなくても芝居しろ、という空気で育ってきましたが…」と苦笑いを浮かべながら振り返った。テレビドラマでも使うカメラを45度傾けて撮影し、いわゆる「引き」の映像は少なめ。中尾いわく「僕がニューヨークにいるって言えば、ニューヨークになっちゃう」。 その分、キャスト中心の映像となる。気にかけたのが表情だ。スマホは飽きられれば早送りされたり、別の動画に切り替えられたり。「スマホで指が止まるのはインパクトがある瞬間。分かりやすい表情やリアクションを意識した」と明かす。 「タイパ」(タイムパフォーマンス=時間対効果)が重視される中、移動しているときなど空いた時間に視聴できるショート動画がSNS(交流サイト)でも人気を集めている。今作も隙間時間を狙って1話3分ほどで構成された。 中尾は「島耕作が単純なエロいサラリーマンではないことは、漫画の1話を通して読むと分かる。3分に凝縮されると、人間性を見せるのが難しい」と振り返りつつ、「ショートドラマの難しさであり、楽しさであり。芝居の勉強にはすごくなった」とも語った。 島耕作シリーズは、昭和58年に「課長-」として始まった連載が「社外取締役-」として今も続く長寿漫画。社内の派閥争いや、家族より仕事を優先する島の姿に、世のサラリーマンたちは自身の姿を重ねた。 その世界観が若い世代の理解を得られるかは分からない。中尾は「泣きたいときに泣き、怒りたいときに怒り、笑いたいときに笑う。真っすぐに生きる姿に、ちょっとだけでもいいなって思ってほしい」と話す。そして、原作ファンに向けても「このシーン、漫画にあったなと、もう一回読み返してみようかなって思ってくれれば」と語った。(渡部圭介) 「課長 島耕作のつぶやき」は全48話で平日朝に新作を配信中。