登録馬の前走レースバイアスと4角のポジション

　無傷の2連勝でアルテミスSを制したブラウンラチェット(牝2、美浦・手塚貴久厩舎)、萩Sで逃げ切ったテリオスララ(牝2、美浦・田島俊明厩舎)、同レース初めての参戦となる外国馬で米G1・2着のメイデイレディ(牝2、米国・J.リー厩舎)らが参戦する阪神ジュベナイルフィリーズ(2歳・牝・GI・京都芝1600m)。 【写真】ショウナンザナドゥこれまでの軌跡 　2歳女王を決めるこの一戦を新進気鋭の“回顧派”予想家「Orfe」氏はどう見るか。前哨戦の分析を中心に展望する。 (文=Orfe) ◆前哨戦分析 　阪神JFの主要な前哨戦3レースについて、私の提唱しているレースバイアス(展開・馬場などレース結果に影響を与えたであろうバイアスの総称で最も影響が大きい4角での位置取りを基に独自の基準で判定。以下RBと表記)に基づいて検証したい。 ・新潟2歳S(GIII)：『外有利』/逆バイアス好走馬＝該当なし 　このレースにしてはテンは流れた部類ではあるが、ペース自体はスローで進み折り合いを欠く馬が何頭か見られた。 　今回登録しているコートアリシアンも道中かなり折り合いを欠いていたが、折り合い面での不利を差し引いても直線は外が伸びる馬場で、ここにスムーズに持ち出せた馬が恵まれたレース。 ・アルテミスS(GIII)：『前有利』(暫定)/逆バイアス好走馬＝ショウナンザナドゥ 　前半1000m通過60.2秒とこちらもゆったりとしたペースで流れ、レース上がり3Fが11.5-11.1-11.0と加速ラップ。上がり3Fが最も遅かったキョウエイボニータで34.4秒という高速上がり勝負で、逃げたミストレスが2着、その後ろの2番手で運んだブラウンラチェットが1着と前が止まらなかった。 　最内1・2番手の馬が1・2着なので外を回して中団～後方から上位の脚を使って届かなかった馬は次走注目。 ・ファンタジーS(GIII)：『内有利』/逆バイアス好走馬＝ダンツエラン・カワキタマナレア 　朝から雨が降り続きこのレースが行われる頃には不良馬場に。それでも水はけのいい京都競馬場でかなりゆったりレースが進んだことで、上がりはそれなりに出るレースに。 　展開面では差し有利に働いたが2・3着に人気薄の逃げたモズナナスターと番手のベルビースタローンがそのまま残ったことを考えれば外を回す負荷の大きかったレースで内有利と判断した。 ◆狙い馬、過大評価禁物の馬 　これらを踏まえて阪神JFで狙いたい馬はショウナンザナドゥ。 　前述の通り前走のアルテミスSは暫定ながら『前有利』なRBで、上がり3位の末脚で追い込むもRBに恵まれず差し切れなかった。 　トビの大きい馬でトップスピードに乗せるまでに時間を要することが課題である点を考慮すればペースは流れた方がいいが、スローペースを考慮するなら今回は新馬・未勝利戦時のように前で運ぶ形がベストか。 　まずは2/9の抽選を突破したい。 　また出走確定している馬の中から1頭挙げるとすればダンツエラン。 　デビュー以来3戦連続で逆バイアスながら2勝3着1回と高いパフォーマンスを発揮。高速上がり勝負になるとキレ負けの懸念もあるが、先行力があり抜け出す脚も速い。荒れ馬場も対応可能で今のトラックバイアスにはマッチする。 　一方で過大評価禁物な馬としてはメイデイレディを挙げておく。 　ジャパンCの際にも同じことを書いたが、私の理論は海外レースを対象としていないため評価不能な人気馬という扱いで、日本の馬場では未出走となると適性も未知。能力比較や前走ランクも不明なうえで印を打つ＝過大評価となる。