「AIは有益だが未知」 ノーベル賞のハサビス氏が語る展望
英グーグル・ディープマインド最高経営責任者で、今年のノーベル化学賞を受賞するデミス・ハサビス博士(48)が21日、東京都内で報道各社のインタビューに応じた。AI(人工知能)について「これまでで最も有益な技術になると思うが、未知な部分も多い」と指摘。悪用されるリスクも認め、「先を急ぐだけでなく、科学的に正しく解明したうえで導入していくべきだ」と語った。 【写真】たんぱく質の立体構造を知るプロセス ハサビス氏は、たんぱく質の立体構造を精度よく予測するAIソフト「アルファフォールド(AF)」を開発。ひも状に連なったアミノ酸がどのように折りたたまれるのか、という50年来の科学の難問を解決に導く成果が評価された。慶応医学賞の授賞式に合わせて来日した。 ノーベル賞についてハサビス氏は「ノーベル委員会が求めるようなインパクトをもたらせたと感じていたが、受賞は驚いた」。今年は物理学賞もAIに関する基礎研究に贈られる。「科学にとって時代の流れが変わる転換点で、AIがまっとうな科学として認められたことを意味する。AIで科学的発見を加速させることが10代の頃からの夢だった。そのレベルに達した証しだ」と話した。 AFは、創薬に革命的なインパクトをもたらすと期待されており、「来年にはAIで設計された薬が臨床試験に投入される予定だ」と紹介した。
朝日新聞社