トヨタとNTT、通信基盤で30年までに5000億円投資 28年にも実用化
Maki Shiraki [東京 31日 ロイター] - トヨタ自動車とNTTは31日、交通事故を未然に防ぐため、AI(人工知能)などを活用した通信基盤の共同開発に取り組むことで合意したと発表した。両社は2030年までに5000億円を投じてシステムを開発し、2028年をめどにさまざまなパートナーと組んで社会実装化し、30年以降の普及拡大を目指す。 両社は、通信の遅れをほとんど感じないNTTの次世代通信技術「IOWN(アイオン)」を活用し、データセンターを分散して設置する。車のカメラなどからのデータをAIが分析し、事故を予見した場合には自動でハンドルやブレーキを操作して事故を防ぐ。 トヨタの佐藤恒治社長とNTTの島田明社長は同日、会見した。佐藤社長は、交通事故を防ぐためには「リスクの先読みという技術に挑まないといけない」と述べ、NTTと共同で「まずは日本で通信基盤を標準化し、その先に海外を視野に入れて展開を考えていく」と語った。 島田社長はこれまでは「車は車、通信は通信と独立していたが、この3つを融合させて人、モビリティー、インフラの三位一体の基盤をつくる」と話した。投資5000億円の各社の負担は「だいたい半分くらいになるのではないか」といい、「長期的な視点で(投資)回収していく」とした。 会見に同席したトヨタの山本圭司シニアフェローは、トヨタ以外の自動車メーカーにも通信基盤を活用してもらうことを想定していると話した。 トヨタとNTTは20年3月に資本業務提携を発表している。