次期政権に引き継がれる防衛増税:議論は迷走を続けるか
防衛費増額で規模先にありきの議論のつけ
このままだと、増税による恒久財源の確保ができないまま、2027年度にかけて防衛費増額が進められていくことになる。その場合、増額分はなし崩し的に国債発行で賄われることになるのではないか。また、政府が閣議決定した防衛増税を何年経っても実施できない事態となれば、政府に対する信認も損なわれかねない。 どうしても増税による恒久財源確保ができないということであれば、歳出、つまり防衛費増額を再度見直し、縮小を図ることも検討すべきではないか。 岸田首相は当初、防衛費増額の「中身、規模、財源」を一体で決めるとしていた。実際には規模先にありきで議論が進み、財源確保が後回しになったことが現在の混乱を生んでいる。 防衛増税の議論がここまで迷走したのであれば、防衛費増額を抑制する縮小均衡も選択肢とすべきではないか。自民党総裁選でも、防衛増税について責任ある議論がなされることを期待したい。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
木内 登英