政権交代へ鍵握る国民民主・玉木代表のSNS戦略 選挙プランナー・藤川晋之助氏に聞く
【激動2024芸能・社会(6)】選挙におけるSNSの存在感が飛躍的に高まった一年だった。「石丸現象」に「玉木現象」「斎藤現象」。猛威を振るい始めたSNSは、今後も選挙でサプライズを起こすのか。7月の東京都知事選で2位に食い込んだ石丸伸二氏の選挙プランナー・藤川晋之助氏にSNS選挙の今後を聞いた。(特別取材班) 都知事選で注目を集めたのは、勝った小池百合子知事より、次点の石丸氏だった。人口3万に満たない安芸高田市の元市長が、元立憲民主党の蓮舫氏を上回る大躍進。「選挙のやり方が変わる」。藤川さんは思ったという。 選挙前の知名度調査で出た「15%」には焦ったというが告示前にX(旧ツイッター)でボランティアを募ると3日で2000人が集まった。「私が携わった142回の選挙でこんなことはなかった」とSNSの訴求力のすさまじさを実感。街宣に1000人、2000人が集まり「警察に注意された。集まりすぎる悩みは初めて」と振り返る。「清き1票を!と言わず皆さんに期待します!と語りかける手法は珍しい」と、独特の個性も感じた。 来年は7月に参院選があり、衆参ダブル選の可能性も取り沙汰される。過去2回のダブル選は自民党勝利。だが藤川氏は「立民が政権交代を仕掛けられる状況」とみる。鍵を握るのは国民民主党・玉木雄一郎代表のSNS選挙だ。 「彼とは2回ほど食事し、SNSの使い方を聞かれた。パクれるものは全てパクると言ってた」と藤川氏。そのSNSセンスを「ボールの投げ方がうまい。衆院選では103万の壁といった比較的小さなことは言うが、機構改革など大きなことは言わない。財務省の反発する間合いを見極めた戦い方。だが分かりやすく人気が出た」と絶賛。女性問題で役職停止中だが、人気は当面続くと踏んでいる。 一方の立民は衆院選の反省からSNS活用で無党派層への浸透を課題に掲げる。ならばと藤川氏は、立民の野田佳彦代表に国民との合併を進言。「自民はこんなこと言ってるからダメなんだ。立民と国民をまとめ玉木を首班指名するから合併しよう。維新もついてきてと言えば政権は吹っ飛ぶ」と強調する。 ダブル選で野党間の候補者調整が難航する隙を突く自民の卑劣さを突き、世論を味方にすれば「国民民主も連合も嫌とは言えない」と断言。その上で「今の玉木の器では半年持たない。その後に野田がやればいい」と野田政権の誕生を見据える。玉木氏を前に立て、国民のSNS選挙に乗っかり、最後に実を取る作戦だ。 「SNS選挙元年」と言われた2024年。「衆参同日となれば戦後で最も面白い選挙になる」と藤川氏。“2年目”も激しく動くことになりそうだ。 ≪兵庫県知事選で露呈 二極化やデマの拡散≫斎藤元彦知事が再選を果たした兵庫県知事選では、うそや真偽不明の投稿が相次ぐなど、危うさも露呈した。「斎藤さんを応援する人とそうではない人に二極化して、真実を追求する人が少なかった」と藤川氏。SNSでは「#さいとう元知事がんばれ」といった投稿が目立った一方で、対立候補の稲村和美元尼崎市長を巡っては「外国人参政権を進める」など事実無根のデマが拡散された。「すぐにというわけではないが、デマが多いと批判が強くなれば規制論につながっていってしまう」と藤川氏は警鐘を鳴らしている。