CDベイビー創業者が直伝「人が感動する瞬間」とは やたらとデカい話をしがちな起業家の盲点
お店の人は教えてくれた。 「いくらで売りたいか、好きに値段を決めてちょうだい。うちはCD1枚につき4ドルもらうから。毎週立ち寄ってくれれば、売れた分を支払うわ」 家に帰ると、早速僕の新しいウェブサイトに、こんなメッセージをアップしたんだ。 ■CDベイビー誕生の瞬間 「あなたのCDにお好きな値段をつけてください。こちらはCD1枚売れるたびに、4ドルを頂戴します。売上げ代金は毎週お支払いします」 それから新しいアルバム1枚をうちのシステムに取り込むのに、大体45分かかったことをはっきりと覚えてるよ。
アルバムジャケットをスキャナーで取り込んだり、フォトショップで加工して体裁を整えたり、販売を希望するミュージシャンから送られてきた経歴書のスペルミスを訂正したり、そんなことにかかりきりになってたんだ。 その頃の僕にとって、45分っていう時間は、時給にして25ドルの価値はあると考えた。そう聞けば、当時僕が自分の時間をどれくらい価値があるものと思っていたか、わかるだろう? それで僕はこのシステムを利用する費用として、契約時に25ドル請求しようとしたんだけど、う~ん、何て言えばいいかな……僕の中では、コストという点で、25ドルでも35ドルでもそう差がないと感じていたんだよね。
10ドルは違うし、50ドルも違う。でも、25ドルと35ドルは僕の中では同じ位置を占めていたんだ。それで、料金を35ドルに設定したんだよ。 そうすれば、相手が望んだときには、値引きに応じてあげられるからね。 契約の希望者が電話の向こうでオロオロしてたら、こう言ってあげるんだ。 「こうしないか? 値引きしてあげるよ」 つまり、値引きに応じてあげられるように、ちょっとしたバッファーを設けて設定したってわけ。みんな当然大喜びさ。
それから10年間でこのビジネスがどうなったのかは、知ってのとおりだよ。これが僕が手がけたビジネスモデルの全容さ。 地元のレコードショップまで歩いていって、「何してるの?」って尋ねた5分間で、すべては始まったんだ。 (ティムから)デレクがCDベイビーに費やす時間はわずかで、彼は自分なしでも会社がきちんと回るように、すべてをシステム化した。 デレクは成功者であり、充実した人生を送っている。 現状にチャレンジすることをいとわず、疑問に思ったことは何でも試してみる、といった彼の姿勢が大きく影響していると思う。