大腸がんステージ4のひきこもり女性(40代)が命を削りながら”過疎ゲーム配信”をする理由「ひきこもりのステレオタイプなイメージを変えたい」
快適なひきこもり生活
「庭付きの実家でのひきこもり生活は気楽で、楽しかった」というかっしーさんは、世の中のひきこもりに対するイメージを変えたくて、オンラインひきこもり当事者会「ヒッキーラジオ」の配信をスタートした。 「ひきこもりというと、人前ではオドオドして話せないというイメージが強いですが、普通にしゃべれるひきこもりがいてもいいじゃないかと思いました。 当事者会というと、傷のなめあいをしているのではないかと思われますが、色々な理由でひきこもっている人がいます。だから、オンラインで飲み会を開催したり、座談会をしたり、それを配信していました」 その後、かっしーさんは40代後半でがんを発症して、自分にできる発信は続けたいと、ゲーム配信者になった。
40代後半でがんを発症して思うこと
退職後は、たまのアルバイトや貯金や遺産を切り崩して暮らしていたが、40代後半の時にステージ4の大腸がんを発症した。 それをきっかけに、古かったため、資産価値が認めらなかった実家に住みながら、生活保護の住宅扶助以外を受給する。 がんは転移を繰り返し、寛解の見込みは立たない。 だけど、希望は捨てたくないとかっしーさんは語る。 2週に1回、通院しているが、抗がん剤の副作用を抱える今では、1人暮らしは不安な面もある。 最後に、ひきこもっている人たちに伝えたいことを聞いた。 「がんを発症して医師に『昔は、がんの原因は、1位が遺伝、2位が生活習慣と言われていたが、今では1位はストレスだと言われている』と言われました。 だから、ひきこもっていても、体には気を付けてうまくストレスを発散して欲しいです。今では、ひきこもりの定義も多様化しています。 働いている人の中でも、土日は平日の仕事のストレスでひきこもってしまうなど、“精神的なひきこもり” の人も入れたら、人数はもっと増えるでしょう。 自分がひきこもりだと思ったら、それがひきこもりです。焦らず、無理に立ち直ろうとしないでください」 厚生労働省や内閣府でも、ひきこもりの定義はあいまいだ。自分はひきこもりになんかならないと思っている人でも、何をきっかけにひきこもってしまうかは分からない。 “精神的なひきこもり” まで入れると、ひきこもり問題はより他人事ではない。 “自分がひきこもりだと思ったら、それがひきこもり”と考えれば、誰かに助けを求めるハードルは低くなる。 ひきこもることになった背景に目を向けることが、彼らに対する一番の支援なのではないか。 取材・文 田口ゆう
田口ゆう