税理士に聞く“夜職”の怖い税務トラブル 元キャバ嬢インフルエンサー25億円相当の“貢ぎ物”無申告のウワサが本当ならどうなる…?
「贈与」「事業所得」それぞれの“税”はどう計算する?
「贈与」として贈与税が課税される場合と、「事業所得」として所得税が課税される場合とでは、計算上、どのような違いがあるのか。 まず、贈与税は、年間110万円までの「基礎控除」があるため、贈与額が110万円以内であれば非課税となる。また、累進課税方式が採用されており、贈与額が大きいほど税率も上がる。 たとえば、基礎控除後の課税対象が200万円以下であれば税率は10%、高額になるにつれて段階的に上がっていき、3000万円を超える場合は最大55%が適用される。この税率は、現金・物品ともに共通だ。 「キャバ嬢が1年間に11人の客からそれぞれ10万円相当のブランド品を受け取った場合、合計110万円で、贈与税は発生しません。しかし、12人からそれぞれ10万円相当の金品を受け取ると合計120万円になるため、基礎控除額110万円を引いた10万円が課税対象になります。受け取ったものがバッグなどの物品であっても、納税は現金で行う必要があるため、支払いに困る人もいるかもしれません」 他方で、所得税については、以下の計算式により算出した事業所得と他の所得を合算した金額に、累進税率が適用される。 〈事業所得金額=収入金額-必要経費〉 「贈与税は所得税よりも税率が高いため、『お小遣いもらった、ラッキー!』で済ませずに、きちんと『事業所得の収入として』申告したほうが、罰金のことを考えると結果的に税金を抑えられます」 ちなみに贈与税も所得税も、毎年3月15日までに申告・納税しなければ、「無申告加算税」が発生する。 もし渦中の元キャバ嬢がAさんの告発通り、25億円分にかかる贈与税または所得税(事業所得)を無申告だったとすれば、果たしていくらの税金を追納することになるのだろうか。 「所得税(事業所得)が無申告だった場合、累進課税制度により利益が4000万円を超えると超えた部分に対して所得税45%と住民税10%(合わせて55%)が課税されます。一方、贈与税も、前述のように贈与額が3000万円を超えると超えた部分は55%が課税されるため、どちらにしても最終的には利益の6割近く納税しなければなりません」