企業・団体献金禁止に自民&大企業が猛反対…高級店三昧の麻生太郎・最高顧問「民主主義にはコストかかる」どの口が?
政策活動費廃止を柱とする政治資金規正法再改正案など政治改革3法案の審議が18日から参院政治改革特別委員会で始まった。 【写真】自民党の「政治とカネ」への取り組み「評価しない」73% =朝日世論調査 審議入りしたのは、野党7党が提出した政活費廃止法案、公明、国民民主両党が提出した「政治資金監視委員会」設置法案。自民党が提出した外国人による政治資金パーティー券購入禁止などを盛り込んだ法案で、今国会で成立する見通しだが、“本丸”は野党側が主張している企業・団体献金禁止だろう。 これに強く反対する自民は「個人献金が善で企業・団体献金が悪というのは成り立たない」(小泉進次郎議員)と訴えていて、来年3月まで結論が先送りされる見通しとなっている。 こうした中、自民や企業側から出てくる論調としてみられるのが「民主主義の維持にはコストがかかる」というものだ。 一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が11月26日に公表した、十倉雅和会長(74)の会見発言要旨にもこうある。 「(企業・団体献金のあり方について)民主主義を適切に維持するためには、相応のコストがかかる。民主主義が『参加と責任のシステム』であることを踏まえれば、社会の構成員である企業が政治に参加する、すなわち自発的な寄附を行うことは当然であり、企業・団体による政治寄附は社会的役割の一環として重要だと考える」 自民の麻生太郎最高顧問(84)も、12月19日の麻生派例会で、「民主主義のコストをどのように負担していくかが問われる。企業献金が政治をゆがめ、個人献金はゆがめないとの主張にはくみしない」と発言したと報じられた。 ■法人税率は1990年代以降は一貫して税率が引き下げられてきた だが、麻生氏が「民主主義の維持にコストがかかる」と本気で考えているのであれば、まずは献金の是非を言う前に大企業に相応分の税金(法人税)を負担するよう動くべきではないのか。 法人税は消費税、所得税と並ぶ日本の「基幹3税」だが、1990年代以降は一貫して基本税率が引き下げられてきた。 98年と99年に37.5%から30%へと段階的に引き下げられ、2012年に25.5%、15年から18年にかけて23.2%に引き下げられている。法人税率引き下げの理由は、国際競争力を高めることや、設備投資、研究開発を後押しするため――などと言われてきたのだが、財務省が発表した法人企業統計調査によると、企業の利益から税金や配当を差し引いた「内部留保(利益剰余金)」は2023年度末に600兆9857億円となり、12年連続で過去最高を更新しているのだ。 2023年分の政治資金収支報告書によると、自民の政党支部は計22億1442万円の企業・団体献金を受けているが、法人税率を引き上げれば、それ以上のカネが国庫に入るだろう。その方が「民主主義を維持するコスト」としてはよっぽど役立つではないか。 さらに言えば、麻生氏はしょっちゅう、銀座などの高級飲食店通いが報じられているが、こうした費用が「民主主義の維持コスト」と考えているのであればトンチンカンな話。 有権者からすれば、自民や大企業が主張する「民主主義の維持にはコストがかかる」という理屈は論点のすり替えにしか見えないのではないか。 ◇ ◇ ◇ 企業・団体献金は廃止されるのか。●関連記事【もっと読む】で『企業・団体献金「廃止」を拒む組織内議員の実態…前回参院選直前には労組関連から5.3億円』【さらに読む】で『自民「政策活動費」廃止は“やってる感”のエセ政治改革 裏金の“入り口”「企業・団体献金」には手をつけず』を取り上げている。