介護現場のサポートや子どものしつけにも!家庭用AIロボット“生活をアシストする”新技術
今回のテーマは、「あなたの生活 アシストします!」。 私たちの生活を便利にしてくれる「お手伝いロボット」が広まろうとしている。開発したのは、世界が注目する日本の人工知能ベンチャー。自ら学習を続けるAIを搭載したロボットで、住空間を一変させようとしていた。 一方、医療の世界でもAIを活用した前代未聞のプロジェクトが始まった。下半身不随になった患者に特殊な装置を埋め込み、電気信号を送ることで、再び歩けるようにするという。 進化するAIは、私たちの生活をどこまで便利に、豊かにできるのか。 【動画】下半身不随の男性がAIで歩ける!? 前代未聞の試み
掃除ロボットより賢い? お手伝いロボ登場
3月。2年前に設立したばかりの「プリファードロボティクス」(東京・大手町)は、家庭用AIロボット「カチャカ」の発売を2カ月後に控え、最後の仕上げを進めていた。 37名いる社員は、東京大学や京都大学出身など、ロボット研究者が集うエリート頭脳集団だ。
カチャカは、配膳を手伝うために開発されたロボット。料理をこぼさないよう、モノにぶつからず動くことが求められるため、本体の前後に2台のカメラといくつものセンサーが搭載されている。指示を出すと、自ら障害物を認識し、通れるコースを探していく。
カチャカを人と同じように“状況を認識するロボット”に進化させる…これが、プログラム担当、村瀬和都さん(34)の役目だ。
しかし、現状は課題だらけ。40人いるカチャカのモニターに同時に試してもらっているが、「畳のヘリを障害物だと認識し、前に進めなくなってしまった」「ドアの前でカチャカが立ち往生してしまう」など。村瀬さんはAIの学習する能力を活用して、こうしたトラブルを解決していく。
村瀬さんの運命を変えたのは高校時代。愛知万博で見た人型ロボットだった。東京大学に進学し、武道に励みながら研究に熱中。就職した「トヨタ」でも、ロボット一筋! アメリカ・シリコンバレーで世界の最先端に触れ、2022年、“人に役立つロボットを開発したい”と、「プリファードロボティクス」に入社した。 妻の吏紗さん、2歳の娘・日那ちゃんと暮らす村瀬さん。修正したプログラムを、まずは自宅のカチャカで検証する。おもちゃを散らかすなど、日那ちゃんの予測不能な行動で、カチャカの行く手には次々と障害が発生する。「子どもがいる家は、絶対こうなる」と村瀬さん。家庭用ロボットとして役立つには、これをクリアしなければならない。