「まさか妻が先に逝くとは」男性たちどう生きる? スーパーは朝一番に行く
こう指摘するのは、パートナーと死別した人など独身者の友人づくりを支援する「お独り様会」を主宰するNPO法人ボラナビ代表の森田麻美子さん。冒頭の男性も会員だ。死別者限定のランチ会を毎月、Zoom交流会も隔月で実施している。 「まずは心の準備ができていないことです。中高年の男性の場合、夫の方が年上で経済的に妻や子どもを支え、家事や育児は妻に任せているパターンが多く、妻と子どもに看取られて先に逝く将来像を持っている方が多い。『まさか妻が先に逝くとは』という声はよく聞きます」 また妻の方は大黒柱を失って経済的な不安を持つことは多いものの、今日明日困るわけではない、いわば長期的な不安だ。 「しかし妻を亡くした夫は任せっきりにしてきた家事など短期的、緊急の課題にさっそく直面することも多い。ATMでのお金のおろし方がわからず困ったという男性もいます」 ■買い物は朝イチに行く 慣れない家事をする中で、つらい気持ちに引き戻される。そんな難しさもある。ある男性はゴミ出しに行くたびに近所の人にお悔やみの言葉をかけられて嫌になり、会わずにすむ時間にゴミを出すようにしたという。 「スーパーで買い物をしている夫婦の姿を見るとつらい。そんな話をされるのも男性が多いです。『見せつけられている』気がするので、スーパーは朝一番に行くのだと。そんなことが急に気になってしまうんです」 (編集部・小長光哲郎) ※AERA 2024年12月23日号より抜粋
小長光哲郎