「著しく正義・公平の理念に反する」旧優生保護法のもと不妊手術を強制 国に1650万円の支払いを命じる 静岡地裁浜松支部
旧優生保護法のもと浜松市に住む全盲の女性が不妊手術を強制されたとして国に損害賠償を求めた裁判で、地裁浜松支部は国に1650万円の支払いを命じました。 浜松市に住む武藤千重子さん(75)は1977年、2人目の子どもを出産した後に、視覚障害を理由に旧優生保護法のもと、不妊手術を強制され子どもを産む権利を不当に奪われたとして国に3300万円の損害賠償を求めていました。 27日の判決で、地裁浜松支部の佐藤卓裁判長は旧優生保護法のもとで行われた強制不妊手術は、憲法で保障された幸福追求権や平等権を侵害し違憲として、国に1650万円の損害賠償を命じました。 裁判では、不法行為から20年が過ぎると賠償を求める権利がなくなる「除斥期間」が争点のひとつでした。 裁判所は武藤さんが不妊手術を強いられた事実を知らなったことなどを考慮すると損害賠償請求権が消滅したとは言えないとの考えを示し「著しく正義・公平の理念に反する」と原告の訴えを認めました。
武藤千重子さん
武藤千重子さん: 「優生という言葉を知ってから5年。本当に長かった。(判決を)待っていた時はドキドキしていたけど、きょうは私のことを見て裁判長が見てくれたので、良かったと心から良かった」
大橋昭夫弁護団長
旧優生保護法を巡る訴訟で、国の賠償責任を認める判決は、去年静岡地裁で出された勝訴に続き、静岡県内2例目です。 旧優生保護法被害静岡弁護団 大橋昭夫弁護団長: 「やっぱりこの裁判所には正義があった。違憲とはっきり言ってくれたので(国は)謝罪をしていくのが先決だと思うので、政府にも要望しないといけないし、 差別と偏見を無くしていくことが必要だと思う」