巨人新ファーム球場に潜入取材、大きな魅力は3つの「ファースト」
3月1日に巨人の新ファーム球場「ジャイアンツタウンスタジアム」(Gタウン)が開業を迎える。東京・稲城市のよみうりランド遊園地に隣接するエリアで開発中の「TOKYO GIANTS TOWN」(東京ジャイアンツタウン)の中核施設となるスタジアムに、ファーム担当キャップの小島和之記者が潜入。お披露目が近づく新球場の魅力に「選手」「ファン」「地域」の3つの視点から迫った。 昨年12月下旬、着々と開業に向けて準備が進むジャイアンツタウンスタジアムを訪問した。三塁側ファウルゾーンからグラウンドに入ると、内野は赤茶、外野は緑の人工芝と青空の美しいコントラストに目を奪われた。東京ジャイアンツタウン担当の巨人・藤門順総務本部次長に説明を受ける中で、3つの“ファースト”が新球場の大きな魅力だと感じた。 〈1〉選手ファースト 酷暑対策として、人工芝の充填(じゅうてん)剤はココヤシが原材料の「ジオフィル」を選択。メジャー球場でも使用される保水力に優れた素材で、球団のテストでは外気温35度で同素材を用いた場合、人工芝の表面温度が20度ほど下がるデータが得られたという。藤門次長の「選手が灼熱(しゃくねつ)の環境でやらなくて済む」という言葉に、選手への深い愛が感じられた。 両翼100メートル、中堅122メートルのサイズに加え、フェンスの高さやマウンド、一、三塁側のブルペンの仕様も東京Dと同じ。ナイター用のLED照明は最も高い場所で55メートルに設置され、照明が野手の目線に入ることを予防している。照明塔の根元には、下から打球を照らす照明も複数箇所に設置され、高く上がった飛球を見失う可能性を減らして快適にプレーできる工夫がなされていた。 〈2〉ファンファースト 新球場はコンコースを通って球場内を一周できる。藤門次長は「いろいろな角度から野球を見てもらい、『この角度から見てもおもしろいな』と感じてほしい」と明かす。右翼フェンス付近には、ホームランキャッチができる立ち見席が83席設けられ、元球児の記者も挑戦心がくすぐられた。 グラウンドとの近さも魅力だ。エキサイトシートが一、三塁側に設置され、2、3階席は最後列でも4列目。小型のスピーカーが至る所に設置され、音響による臨場感も味わえる。コンコースは右翼ポール付近の室内練習場の中を通っており、試合前、試合中の選手の準備を上から見ることも可能。「試合以外の野球の面白さを見せたかった」と藤門次長は狙いを説明した。 〈3〉地域ファースト 球団は多摩地区の自治体と連携協定を結んでおり、スポーツ振興の活動も進める。新球場は月に1回程度の不定期で、球場に隣接するサブグラウンドは平日の午後帯にそれぞれ一般開放する構想があり、「地域の方々と会話をしながら使ってもらおうと思っています」という。自然豊かな多摩丘陵に溶け込むよう、敷地内には多くの植栽を設置。試合がない日もコンコースが開放され、近隣住民の散歩コースとしての利用も見込む。高校、大学野球への貸し出しも想定し、地域に根付いた球場を目指す。 敷地内には、ジャビットやYGマーク柄のマンホールも設置され、来場者を楽しませる仕掛けが満載。3か月後の開業が一層、楽しみになった。
報知新聞社